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熟成の時
暗くて黒いです。










「僕はね、悔しいんだ。僕のことを知りもしない人間が、僕のことを知ろうともしないで、勝手なイメージに縛り付けて、見下して嘲笑って馬鹿にして蔑んで溝川に浮かぶ魚の腐乱死体でも見るような目で僕を見つめて、わざと僕が出来ないことをさせてストレスを解消させるんだよ。ねぇ、そんなのおかしくない? 僕だってそいつが出来ないことやらせて、顔を真っ赤にしながら僕を睨んで震えている写真を何百枚も現像して、世界中にばらまいてやりたいよ。でも良く考えてみて。僕に出来てそいつに出来ないことってなんだろう。そいつは勉強は苦手だけど、あと顔も不細工だし太り気味だし性格も僕は良いとは思わないけど、賢いんだ、運動も良く出来るんだ。僕はどうだい? 勉強なら勝てるかもしれないね。でも駄目だよ、そいつは勉強が出来ないことを自分の魅了にしてるから。勉強出来なくてへらへら笑って、そうやってなんとなく、無意識のうちに自分を作ってる奴だから。勉強で勝ったってそいつは何も思わないだろうね。顔と性格は、僕は大っ嫌いだからそう見えるだけかもしれないもん。僕には気の効いたとんちは言えないし。もし言えたら今、こんなことなんか考えていないだろ? 運動なんか、今までの人生で一度も最下位以外になったことがないジャンルだよ。ねぇ、僕どうしたらいい? 最高に滑稽に、そいつを辱めてやりたいんだ、僕の手で。それで僕に跪いて泣いて忠誠を誓わせたいんだ。そしたら後は簡単さ。そいつは一生、死ぬまで僕の奴隷になるんだ」

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あきゅろす。
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