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黒白ノ風
213 悪気
 「…このままだと何か悪いんで何かご馳走させてくっさい」
肌が白くて作り微妙な笑いを浮かべるサイ。
その人を見、いい提案を思い付いた。
 「いえ、いいです」
 「いやいや、悪いんで。マジ本当に!」
私は微妙な殺気も醸し出しながらあくまでも平静を装って言った。
もちろん悪い気なんて全くしない。
ただサイと一度話してみたかったのだ。

 「…ハイ、ではご馳走になります」
とうとう折れた。
私の出した殺気のせいかサイの頬を汗が滑っていた。


 「ここの木綿豆腐おいしいらしいんだよね」
 「そうなんですか」
所変わって木の葉茶屋通りの一角にある店の中で話をする私達。
外の看板や旗には甘味処みたらしという文字が記してあった。
中忍試験時にアンコから聞かされていた店だ。
私も実際来るのは初めてで、店の清潔さと新しいにおいが今風の店ということを知らせる。
古く味のでている店も中々だがこちらも中々といったところか。

 「ご注文は?」
少々フリルが盛られた服を見事に着こなしている店員さん。
 「ボクは木綿豆腐を」
 「私は白玉黒蜜特製クリームパフェ」
 「かしこまりました」
・・・まさかここまで私の思い描いていた甘味があるとは思わなかった。
さっきもいった通り、私はサイと話をするためにここに来たのだ。
決して私が甘味を食べたいがために来たわけではない。たぶん。

 「さっきの木炭、習字でもしているの?」
超獣偽画に使うということは知っていたが、あえての話題作りとして木炭をとりあげてみた。
 「えぇ、まぁそんなところですかね」
 「へぇ」
忍の術は他人に見せないのが普通か。

 「木綿豆腐と白玉黒蜜特製クリームパフェでございます」
店員さんはコトリと机に木綿豆腐とパフェを置き、去った。
 「…ホントにおいしそうですね」
 「・・・ヤバイね!」
私は興奮気味だ。
 「では、いただきます」
サイはいい匂いが漂うタレがかかった木綿豆腐を口へと運んだ。

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あきゅろす。
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