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黒白ノ風
176 鷲掴
 「…私はサチだよ!」
 「・・・見苦しい嘘はやめろ」
サスケの瞳は氷のように冷たく、この2年間で雰囲気というか纏うチャクラの感じが変わったことは肌で感じて分かる。
もう2年前のサスケとは違うのか…と思い、寂しさがこみ上げてきた。

私は顔をうつむき、様々な思考をめぐらせる。
スッ
瞬間、かすかな音のみを立て、サスケは素早く移動した。
腰にある愛刀、草薙の剣を引き抜いたかと思えばその銀色の刃の部分を私に向けて振り下ろす。
その刀は薄い闇の中でもかすかな光を集めて銀色の光を放っていたのだった。

ガッ
振り下ろされる刀身を鷲掴みにする。
私はチャクラを纏わせた素手でそれを受け止めたのだった。
 「…!」
 「…スピード上がったね・・・サスケは何て言えば信じてくれるのかな?」
少し自分でも吃驚した。
咄嗟の判断で手が出たのだが、少しは切れると思っていたからだ。
後、サスケはかすかな迷いがあり、太刀筋が甘いというのも私が刀身を受け止めれたのに関係している。
 「・・・」
 「・・・」
緊迫した空気が漂う。

しばらく私とサスケの睨み合いは続いた。
…どうする、どうすればいい?
私はそのことで頭がいっぱいだった。
サスケもまたいぶかしげに物事を考えているように見えた。

 「・・・本当にサチなのか?」
沈黙を打ち破ったのはサスケ。
剣に込めた力を抜き、私に問いかける。
 「さっきからそう言ってんじゃん」
…変な誤解は解けた、かな?
私はほっとして剣から手をのける。
鷲掴みにしていた剣は支えを無くして宙に投げ出された。

 「生きていたのか…」
 「この通りピンピン。暁のアジトからはもう2年前に出てたよ」
 「じゃあ、今までどこにいたんだ?」
 「私のもといた世界。サスケなら行ったことあるから知ってるでしょ?」
 「…そこにいたのか」
チキン
サスケは力なく宙へと投げ出された草薙の剣を鞘におさめた。

 「すまない」
睨みをきかせていた双方の赤い写輪眼をもしまい、言った。
 「別にいいけどさ」
…そういえば写輪眼って人のチャクラとか分かるんだよね。
じゃあ、何でサスケは私を間違えた?
 「何で写輪眼持ってんのに私のとこ本物かどうか区別できなかったの?」
そう試しに聞いてみた。
 「…サチのチャクラの質が2年前とは変わりすぎていたからな」
 「・・・それってどういう…」
…私何もしてないよ。
チャクラの質が変わった?
ただ何もしないまま2年経っただけなのに変わるなんておかしいじゃん。
…あれ・・・?

…誰か来た!
ドアの外で人の気配がする。
おおかたこのアジトを仕切る者だろう。
その人はゆっくりと私とサスケがいる部屋に一歩一歩近づいていた。

コンコン…
やがて部屋のドアが静かに叩かれたのだった。

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あきゅろす。
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