黒白ノ風
529 対処
鏡の中へと移動した白。
突然だった。
なにもないところから霧がたちこめ、辺りを霧が包みはじめた。
白は指と指の間に千本を構えた。
ひんやりとした冷気は一層強くなり、皮膚を刺すような冷たさが全身に広がった。
(…白!・・・そいつに今攻撃しても当たらないと思う。すり抜けるから)
会話術で敵の情報を伝える。
(ボクもただやみくもに攻撃するわけではありませんよ)
(…いやいや、当たったとしても意味がないの)
(・・・)
すると白はしばしの間、無言でトビを観察した。
そして高速で移動を始めた。
あまりにも速すぎるために14枚の氷の鏡全てに白がいるようにも見える。
いや、これは…
「何だ、手品か?…しかし速いな」
トビは小馬鹿にするように笑った。
その後に感心の言葉を漏らした。
(あと、トビは写輪眼を持ってるから)
(そうですか)
白は写輪眼という言葉を聞いても動揺しなかった。
その冷静さはどこからきているのかについてはともかく。
私でも先程気付いたばかりだが、あの氷の鏡の中にいる白は全て影分身だ。
肉眼では捉えずらいが、どの白も移動していないことが分かった。
(いつから影分身を…?)
(あれ、気づきませんでした?…トビの腕を切り落とした直後ですよ。全員鏡の中に入っていてもらっていましたから)
油断が視野を狭めたのか、このことにトビは気付いていない。
辺りを取り巻く霧のせいで視界が悪いというのもあるが。
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