黒白ノ風
434 自尊
・・・あった。
もうこの言葉しか出てこない。
イタチの自尊心を傷つけてしまうと思う。
だけど今の私にとってこの言葉はただ一つの突破口だ。
「・・・」
口を開き、私は言葉を紡ぐ。
「…オレとお前は唯一無二の兄弟だ。オレはお前と共に在りつづけるさ。例え憎まれようともな…」
「!!」
あからさまにイタチが反応したのが分かる。
「ごめんイタ兄。勝手に私情につっこんで・・・でも…このままだとサスケは…」
「サチ・・・本当に知っていたのか…」
「うん…」
「だが、サスケなら大丈夫だ。お前やナルトがいるだろう」
イタチはこの場に及んでも冷静だ。
「・・・」
そしてここでナルトの名前が挙がった。
きっとイタチは私に会う前までナルトと話をしていたのだろう。
「・・・でもさ、イタチっていう人間は一人しかいないんだよ…!」
「…代わりになれとは言わない。サスケが暴走した時は、止めてやってくれ」
「私達にはできそうにないよ・・・だから…イタチがサスケに…」
真実を…
「残念だがそれはできない」
「何で…」
「・・・」
「なんとか…」 「今更サスケの前に行って真実を言ってどうなるというんだ!!」
イタチは初めて私の前で声を荒げた。
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