黒白ノ風
419 只錆
「・・・でもさ、その刀、あまりそういうことに使わないでほしいな」
「・・・何で?」
「私の一族の刀だから・・・」
水月に渡した刀も柏一族と同様に血は望んでいないだろう。
何となくそんな気がした。
「…何でそんなに大事なものを…?」
「刀だし、使わなかったらただ錆になっていくだけでしょ?だから刀好きの水月に・・・」
「・・・うーん、そっか。よく分からないけどこういうことには使わないようにするよ・・・それに、使い手のボクが刀に嫌われたら終わりだしね」
水月は後頭部に手を当て、少し笑った。
ギザギザの歯が見えかくれしていて何とも可愛らしい。
「ん!おっけ」
その時、足元で何ががうごめくような気配がした。
「クク・・・残念だったな…オレを殺せなくて…」
その正体は正気に戻った囚人さんだった。
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