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黒白ノ風
261 湯当
 「サチ!?」
朦朧とする意識の中、サクラの声がよく頭に響いた。
 「どうしたの?」
…ホントどうしたんだろ?
・・・何で目の前にサクラと青い空が映ってんだろ?
それに、頭がぼーっとする…

 「…あっ」
腹部の気持ち悪さとぐらぐらする頭を何とか正常に戻した。
そうだ、きっとあんな長ったらしい話を風呂なんかでするからのぼせたんだ…
サクラは大丈夫なのかな?
 「…あ!サチ!!戻ってきた!」
サクラは私の首を左手で掴んだまま右手を振り上げていた。
つっこみどころ満載だな…
私はどこから戻ってきて、何でサクラは私を叩こうとしているのかな?
…ちょ、首痛…

そんな私の疑問にもすぐに答えが返ってきた。
 「もう…一人だけの世界入らないでよね…」
 「・・・その手は?」
 「…あぁ、いきなり上の空になるからきつけでもしようかと…」
…その右手が私の頬に炸裂する前に起きれてよかったよ。
 「のぼせたからもう上がるね?」

今度こそザバァ…と湯舟から上がり、塀にかけてあったタオルを体に巻き付けた。
少しふらふらする…
のぼせたのなんて、何年ぶりだろ?
 「大丈夫?」
湯煙の向こうから朧げに見えるピンクのサクラが見えた。
薄く笑い、返答をした。
 「滑りやすいから気をつけなさいよ?」

 「あ、うん大じょっ!!?」
ゴン
 「あべしっ」
ひっくり返った拍子に後頭部を強打した模様…頭痛っ。
 「ギャーサチー!!」
あ、タオル巻いておいてよかったー…
隣にいるサクラの悲鳴を耳にしながら私は意識を手放した。



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あきゅろす。
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