黒白ノ風 262 古的 見慣れない天井。 行灯の黄色がかかった光は私の頬を照らしていた。 「・・・」 むくっと体を起こす。 「…っ」 ぼすっ 後頭部が鈍い痛みを持っていたため、藁の香ばしい匂いが漂う枕に頭を戻した。 お腹減った。 「あら、サチ…」 サァ… という襖をゆっくりと開く音と共にサクラが部屋に入ってきた。 「おはよv…何で私は寝てたの?」 「転んだのよ」 「…あ。」 そういえば何かを踏んで滑ったような気が… 「お風呂でね」 そう付け足され、記憶が戻ってきた。 「サチってホント変なところ抜けてるわよね…あれだけいいこと言ったのに石鹸踏んですってんけろりんよ…すごい古典的だったわよー」 「・・・あは」 サクラのすってんころりんの方が古典的だと思うけど… まぁとにかく 「ありがとね」 「えぇ…友達と…」 サクラは微笑みながら続ける。 友達として…? 嬉しいこと言ってくれるではないか。 「友達といて…他人のフリしたいって思ったの初めてよ」 「・・・」 つまり恥ずかしかったっていて言いたいのか? そうなのか? ・・・まぁ、そりゃそうか。 風呂場でいきなり石鹸踏んで友達がコケたらハズいよな。 「すいませんでした」 感謝の言葉を謝罪に変える。 するとサクラはにっ…とはにかみ 「嘘よ」 そう言った。 しかしその笑いは少々ぎこちなく、その嘘も嘘だということが見てとれた。 50%本当だなこれは。 「さて…と・・・ご飯よ。もう用意してあるらしいから行きましょ」 「ご飯…」 瞬時に私の頭の中である計算がされた。 時間的に夕食時+ここは宿屋=… 「豪華ディナー!!ひゃっほぅvサクラ行こ!!!」 バネの如く跳ね起きる。 「やっぱ勘違いだったみたいね…」 そんな私を見てサクラはそう呟いてから立ち上がった。 [←][→] [戻る] |