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黒白ノ風
207 手抜
 「到着!」
真白に乗って移動すること僅か2、3秒。
第44演習場に到着した。

まだ集合時間になっていないためか、会場内はざわざわとしていた。

 「真白たんありがと」
 「礼には及ばん」
 「また一緒に中忍試験受ける?」
 「…そうしたいのも山々なのだが、用事があってな」
 「そか」
少し話ができると思って楽しみにしてたから、ちょっと残念だな。
まぁそれもまた今度ってことで。
 「では」
真白は静かな足音のみを残して去っていった。

辺りを見回すとそこにいるのは忍忍忍…様々な里の忍がそれぞれ木にもたれていたり、腰掛けたり、準備を整えたりしていた。
皆スリーマンセル。
私だけワンマンというのは少々寂しいものだ。

ボンッ!
突発的に音がしたかとおもえば周囲に白煙が立ち込め、私の視界をさえぎった。
…これは。
敵ではない。
相変わらず派手な登場の仕方だな。この人は。
目視では確認出来ないが他の受験者は先程よりも更にざわついているのが耳に入った。

少しすると白煙も晴れてきて、黒い布のようなものがたなびいているのが確認できた。
その黒い布には
“第1試験官みたらしアンコ見参!!”とでかでかと記してある。
だいぶ前に私が受けた中忍試験でもこのようなものを使っていたっけ。
前はガラス突き破って登場したんだよね。
 「アンタ達、ボケっとしている暇はないわよ!」
旗の前で怒鳴りつけるように言うアンコ。
私を除いて皆、目が点である。
 「私が第1試験官よ!ついてらっしゃい!!」
 「どこまでもついて行きマス!アンコ姉!!」
そう言ったのは他でもない、私だ。
 「あらサチ、久々ね…まぁ、また後で話しましょ」
 「ほーい」

 「ここは第44演習場、別名死の森よ」
アンコは試験の内容を事細かく説明し始めた。
 「さて、と第1試験ではサバイバルをしてもらうわ。何でもアリアリ巻物争奪戦よ!!」
…前もそうだったよね。
試験内容、結構手を抜いていやしないか?
 「…この“天の書”、“地の書”・・・“人の書”をめぐって戦ってもらうわ」
どこから取り出したのかアンコは手の平に巻物を乗せかながら説明している。
 「ここには190人、つまり63チーム+ワンマンが1チーム存在する。その3/1チームずつに天、地、人の書を渡すわ」
どうやら巻物が一つ増えたようだ。
それにゲートが44個しかないので2回に分けて試験を開始するらしい。
だいぶ難易度が上がった上、最大でも21、2チームしか次の試験に進めない。

 「…そうだ」
アンコは思い出したかのように私を指差した。
 「そのこ、ワンマンだから最初から巻物全て渡しておくわ」
そう言うとアンコは持っていた天、地、人の巻物を全て私に投げた。
 「ぇ」
それをなんとかキャッチする私。
他の受験者は私の持つ巻物にぎらぎらとした目線を送っていた。
 「サチならいけるよv頑張って!」
そんな受験者をよそに満面の笑みでアンコ。
…どうやら今回の中忍試験は大変になりそうな予感。

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あきゅろす。
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