[携帯モード] [URL送信]

黒白ノ風
208 前後
 「・・・」
とりあえず大観衆の前で巻物をポーチにおさめる私。
…これでは“巻物はここにあります”と言っているようなものだ。
まぁ逃げ足と強さには自信があるからいっか。

 「あ、後ね…」
…まだあるのかよ。
 「前半と後半、二回に分けて開始するって言ったよね?サチ、アンタは後半に開始だから」
 「…ぇ」
後半は前半の者が待ち伏せしている可能性大。
開始直後に敵の術やトラップにかかってしまうかもしれないから危険なのだ。
それなのに全巻物がそろったまま後半に開始って…
他のチームにとってみれば私は受験者の中でも1番狙いやすく、恰好の的ということになる。
…ま、まぁ、に、逃げ足と強さには自信があるから・・・
 「くどいようだけど何でもアリアリの争奪戦よ。他のチームと手を組むってのもアリかもね」
…アンコ姉…
あなたは正真正銘のドSです。
私を殺す気か。
そう心の中で思ってみるものの、アンコは相変わらず満面の笑み。
「じゃあ同意書と巻物交換するから」
終いには団子をおしることセットで頬張り始めた。
…私をいじめてそんなにたのしいか。
このやろう。

 「アンコ姉酷いし!」
説明が終わって他の受験者が同意書と巻物を交換している最中、私は必死にアンコを責めていた。
 「…なによ別にいいじゃない」
 「死んだらどうすんのさ!」
 「暁に拉致られても生きてたアンタなら大丈夫よ」
…そういわれてみれば確かに。
って、それとこれとは違うわ!
 「だからってさ…」
 「まぁまぁサチ墓建てられちゃって、もう死んでるようなもんだから」
 「もう壊したし」
やっぱ酷いよな、この人。

 「…へぇ・・・それよりさ!4日前に“甘味処みたらし”ってゆー店が木の葉茶屋通りに出来たのよ!!今度一緒に行きましょ!」
甘味処…?そんなものが木の葉の里に新しく開店したのかァ!
 「まじ!?是非ともご一緒させてもらいます!!」
私は態度をコロッと変える。
甘い物には目がない。
以前、アンコと一緒に甘栗甘で栗を食べたことがある。
まさかまたおさそいがくるとは。
…楽しみだ。

わいわいと話をしているさなか、他の試験官の人がアンコを見つけ、寄ってきた。
 「アンコさん、試験開始5分前です」
そう伝えると忙しそうに去っていった。
 「アラ?もうそんな時間・・・んじゃあサチ、またね!」
 「うん!!」
後ろ姿のアンコを目で見送る。
さて、中忍試験の始まりだ。
楽しくやろうか。

[←][→]

36/43ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!