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黒白ノ風
189 剣取
 「ちょストップ!!」
そう言うものの、目がうつろなまま口元が釣り上がっているサスケには届かない。
…こうなったら、真剣白羽どりしてみるか。
映画とかドラマでもよくやってるしね。
(いつのだよ)

ブゥゥン…
私は高密度のチャクラを練り上げ、それを手の平にまとわせた。
熱くなってきた手の平で高密度なチャクラがそこにたまっているということよくがわかる。
こんな短時間で我ながらよくできた。
そう自画自賛したところで向き直る。

サスケが剣をふり降ろすスピード、タイミングと合わせて…
・・・私に銀色の刀がどんどん迫ってきている。
あと何pであろうか。

…今だ!!
ガッ
地面に刀が刺さった。
何故私の手の平に刀がおさまっていないのか。
初めての白羽どりが怖くなり、咄嗟に転がって逃げた。
それだけである。
チャクラを練った意味がなかったことは深くつっこまないでおいて下さい。

 「起きろォ!!」
ともかく私は地面に刺さった刀を足で蹴る。
刀はそのまま地面をすべり、
カシャ
と音を立てて壁にぶつかってから止まった。

 「・・・?」
サスケははっとし、辺りを見回しながらいぶかしげな顔をしている。
先程の私の声でやっと目を覚ましたようだ。
 「やぁ、おはようサスケ君」
私はにこやかに、微量の殺気を込めながら言った。
 「…おはよう」
サスケは訳が分からないといったような顔で私を見やる。
そんなサスケに地面に転がる草薙の剣を指差しながら
 「あの剣は何故あそこにあるのでしょうか?」
と問いた。
 「・・・さぁな…何故だ?」
 「・・・もういいや」
かける言葉もございません。
微笑しながら明後日の方向を見る。
これは寝起き悪いの問題じゃないよね。
剣まで取り出して…一種の破壊衝動に駆られてるよね。
記憶までぶっとんでるし。

…何故だか疲れた。
オロッティーのとこ行こ。

私は踵を返し、部屋を後にした。
部屋の中には首をかしげ、何事もなかったかのように草薙の剣を鞘におさめ、布団をたたむサスケの姿があった。

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あきゅろす。
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