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黒白ノ風
174 岩壁
 「ここか…」
殺伐でとげとげした岩や、大きく角張った岩石が不規則的に立ち並ぶ荒地。
そこで静かに潜むように人の声が響いた。

その人は断崖のような岩壁を見つめ、目をはなそうとはしない。
外見的に岩にはなんの変哲もない。
かといっても何かがありそうな雰囲気なのは確かである。

ザッ
何の前触れもなく岩を凝視していた人が動く。
至近距離で拳を前へと突き出し
 「ミラクルパーンチ!」
ドッ ガラガラ
岩壁を破壊した。
掛け声とネーミングセンスが微妙というところはあまり気にしないでほしいものである。

岩壁にぽっかりとあいた穴、それは闇に浮かぶひっそりとした通路までずっと繋がっていた。
 「入り口発見ーv」
…これでやっと会える。
・・・これまでの一連の行動や岩壁を壊すなどの行動を起こしていたのは私、水野サチである。

何故このような荒地にいるか…
ある人に会うためだ。
そのためだけに私はこの荒地に赴いているのだ。

…よし、行くか。
私は心を決めると壊れた岩壁の残骸を飛び越え、暗い闇に吸い込まれるようにして岩の中へと入った。
 「しつれいしまーすv」
そう呟いて…

岩壁の中は暗い。
しかし辺りの様子が伺えないわけではない。
通路には10m間隔で薄い明かりがぽつぽつと浮かんでいた。

人の気配を辿る。
些細なものでもいいのでチャクラも探る。
…いた・・・ここの通路を真っ直ぐ行って、突き当たりを左に曲がって…
その通路の右側の部屋らしき場所に誰かがいる。
私はもっと詳細に気配を探った。
・・・この懐かしいチャクラの感じ…きっとそうだ。
薄暗闇の道をすばやく駆ける。
突き当たりを曲がり、部屋のドアらしきものの横にぴったりとくっついた。

…どきどきしている…
その人が私を目にした時の反応と、不法侵入が誰かに見つかったりはしないか…などの様々な感情がせめぎ合って私の鼓動を速くする。

 「…」
ゴクリと生唾を飲む。
震える手でドアノブに手をかけ、開く。
ギィ…
たてつけの悪いような音を発しながらドアは私の力の通りに開いたのだった。

 「…誰だ?」
開けた瞬間に響いた声。
室内を覗き込むと赤い光が2つ暗闇に浮かんでいた。
 「…サチ・・・か…?」
赤い2つの光を持つ人は私を見るなり驚愕したような声で呟いた。

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あきゅろす。
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