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黒白ノ風
129 試行
・・・やってしまった。
そう思って何分経過したのだろう。
後悔のためか、やけに時間が長く感じた。

木に腰をかけてうなだれ、息を切らす。
もう私はばてばてである。
なんとかこの結界が解けないのかと試行錯誤を練り、術を発動させまくったのだ。
最初に口寄せ。
しかし、真白は来なかった。
用事でもあるのか?と思いながら外の方法も模索した。
まぁ傷1つつかなかったのでその行動は無駄とも言えたが。
結果、私の体内のチャクラもだいぶ底をついた。

もう一度厚紙を使えばどうにかなるのではないか。
そんな思考もよぎるが…
 「この術の効果は一回限りだ」
などという真白の言葉も同時によぎったので、やめた。
どうせチャクラの残量も無いのだから。

・・・そうだ、
もう一回真白を口寄せしてみよう。
そう思い立ち、私は無いチャクラを何とか絞り出し、真白を口寄せした。
ボフンッ
という音と共に白煙が上がり、今度は真白が姿をあらわした。
真白は出て来るなり辺りを見回して
 「だいたい状況はつかめた」
と言った。
 「あの厚紙みたいなの失敗した。くだらない罠に引っかかってほかじいと引き離されちゃったし…」
 「そうか・・・おぬしは三代目と大蛇丸がこうなることを知っていて我に結界への侵入方法などを聞いていたのか」
 「ん、そう」
 「…今日は少しヤボ用があってな。終わったら来ようと思っていたのだが…遅くなった。すまない」
 「いーや、私の方こそ真白たんに頼りっきりでごめんね」
 「・・・そうだ、結界を解きたいのだな?」
 「うん」
真白はきびすを返し、結界を見やった。
 「…この程度の結界…か」
そうつぶやき、結界に前足を掛けた。
真白の前足は結界に触れていたというのに燃えなかった。
それどころか結界は真白が触れた場所から空気に溶け始めた。
 「すご…」
私は感嘆の声をもらした。
同時に希望が見えた気がした。

ブゥゥン
そう音を立て、紫色がかかった結界は空気に溶ける。
結界が解けたのだ。
 「流石真白たん!」
私は早速結界の中へと踏み込んだ。
後ろを向き、お礼を述べる
 「ありが…?・・・どしたの?真白たん?」
…しかし、お礼の言葉は途中で途切れた。
真白が深刻な顔をしてうつむいていたのだ。
 「…サチ…この結界は…我が解いたのではない…発動者によって解かれたのだ…」
発動者によって、解かれた?
倒す目的で対象者を閉じ込めておいた結界を解く。
…それは結界の発動者達が目的を達成したということになってしまう。
それか解かざるおえない状況になっているかである・・・

 「…え!?」
私は顔面蒼白になり、慌てて結界があった場所へと再び足を踏み入れた。

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