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黒白ノ風
116 後取
 「ねーナルトー、暇ー」
私は試験会場内のフェンスにぶら下がりながら何とも暇そうに語りかけた。
しかし、語りかけた相手からは返事は返って来なかった。

カブトとの戦闘で目が見えなくなった私。
“本当の医療班の人”に診てもらい、これは一時的なものだということが判明する。
その後、試験会場内に戻り、他の人の戦闘を見ようとした。
しかし、私は自分の目が未だに見えてないということに改めて気づき、正常に機能している耳だけを頼りに下で繰り広げられているであろう戦闘を想像していた。

ここで気付いたことが1つだけ。
妄想と想像の違いである。
この下で繰り広げられている戦闘を音だけで想像する…ということを通して、私は妄想力は有り余るほどあるらしいのだが、想像力はまるでないということが判明した。
妄想と想像は違うのか・・・という暇人ならではの何ともくだらない考えを先程まで巡らせていた。
まぁもっとも、ぐあっ、バキッ、グシャ、あべし!などといった雑音混じりの音と声だけでは想像でないのが当たり前なのだが。

 「ねー、ナルトー、おーいー?おーい!!」
先程までうんともすんとも返答をくれなかったナルトに対して、今度は何度もしつこく呼んでみた。
すると
 (サチうるせぇ!これで何回目だよ)
ちゃんとした返事ではないが会話術で返ってきた。
 (んー、何回目だろうね?)
私もそれに合わせる。
 (7回目だアホ!)
 (おぉ、凄いね!ってことで…しりとりしよ?)
 (オイ、何がどうなってしりとりになるんだよ)
 (いいじゃん!私が負けたらもうナルトには話しかけないからさ)
 (・・・しょうがねぇな…)
 (よっしゃあ!・・・じゃあ、ナルト!)
 (トラ)
 (裸族!)
 (クリ)
…らぞく…??
 (リ、リカルデルト!)
 (トナカイ)
は?りかるでんと??何だソレ。
 (イギリス!)
 (スリ)
いぎ、りす…?マジ何だコイツ。
 (リーブにじゅういち!)
 (・・・)
 (おっ、ナルトギブアップ?)
 (意味分からねー。何だよ“らぞく”って…りかるでんと?いぎりす?お前マジ一般人の常識から学んだ方がいいぜ?)
 (裸族というのは、裸で生活を送る…)
 (説明しなくていい!!)
 「次!うずまきナルトVS犬塚キバ!」
 (あ、俺だ)
 (おっ、頑張ってね!行ってらっしゃーいv)
 (お前は病院逝け!)
そう残すとナルトはばたばたと足音を残し、行ってしまった。

…最近やけに冷たいよな。ナルト。
それにしてもまた暇になってしまった。
どうしよう・・・
・・・そうだ・・・
寝よう。
そう思うが早いか、私は布団(ピカチュウのタオル付き)を口寄せし、堂々とギャラリーの通路にそれを広げた。
よっこらせとババくさい声を発して毛布にくるまり、眠りについた。
サクラがいぶかしげに私を見ていたような気配がしたが、そんなことは気にならなかった。

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あきゅろす。
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