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黒白ノ風
114 診察
 「お帰り、サチ!痛い所ない?ってか目、見えてないでしょ?」
上のギャラリーへと上がって早々、サクラに質問責めにあう。
 「…ん、そだよ。よく分かったね」
 「だって試合中壁に向かって話しかけてるんだもん。誰でも分かるわよ」
 「・・・うわー」
恥ずかしっ。
何してんだよ私ィ。
…だったら、「次で終わるのはどっちでしょーか?」とかカッコイい台詞を平然と壁に向かって語りかけていたのか。
やべー。もう木の葉の里歩けねーよ。
本選じゃなくて良かった。
もしそうだったらいいとこ木の葉の恥さらしだ。

その時、私は私に近づく足音に気付いた。
その足音は確実に私のいる方向へと向かっていた。
 「おいおいサチー。何でお前そんな強くなってんだよ。ちなみに俺キバな」
その人はキバだった。ご丁寧に名前まで言っている。
キバにしては気がきいている。
先程のサクラの発言の通り、私の目が見えていないのは誰しもが分かっているらしい。
 「日々の修行のたまものだよ。ははっ」
私が強くなった。
そんなことを言ったキバに対し、私は軽く答えをあしらった。
アカデミーの時と比べるから強くなったかのように見えるだけ。
 「前まで授業さぼりまくってたのにな」
 「あー、あれは楽しかったよね」
 「確かにな。オレとサチとナルトとシカマルとチョウジでだったっけな」
 「うん!赤丸は元気?」
 「あぁ、今日も元気だぜ!」
 「赤丸お久ー、そだ!触ってい…」
 「サチー、ちょっとおいで」
思い出に浸り、赤丸をお触りしようとしていたところ、カカシ先生に呼ばれた。
 「…あー、ハイハイ。んじゃーね、キバ」
 「あぁ、またな」
ちっ、いいとこだったのに。
そう呟きながらカカシ先生のもとへと駆けた。
 「何ー?」
 「目、医療班の人診てくれるってー」
ヨカッタネーなどと言うカカシ先生。
目を診る、か…
その言葉の通り、未だに私の目は闇に閉ざされたままだった。
目を開けてもただ漆黒の黒があるばかりである。
そういえばこれ、いつまで見えないんだろ。
一生だったら嫌だなー。
…あー、何か診てもらうのが怖くなってきた。
 「・・・んじゃあ、お願いしまーす」
私は意を決し、小さく言った。

 「では、こちらへ」
私の言葉を聞いた医療班の人は私を隣の部屋へと促す。
地面に根をはりたいところだったが、何とか重い足を上げ、そちらへと向かったのだった。

・・・緊張してきたなー。
隣の部屋に到着した。
医療の現場というか、そういった薬品のにおいが鼻をつく。
今は丸い椅子に腰をかけ、目を診てもらっている最中である。
ライト的なものの光がちらちらと目に当たり、何とも眩しい。
 「…こ、これは・・・!!?」
私の診察をしていた人が目を見開き、眼鏡をギラギラと光らせながら絞りだしたかのような声でうなった。

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あきゅろす。
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