番外編
デートですか 続
【デートですか の続きです。】
楽しそうにククッと笑いながらサソリさんは、どうだ楽しいかと聞いてきた。
「わーすっごく」
楽しくない
「これのどこがデートスポットですかというかここ何なんですか!」
「誰がデートだって言った」
そんな事私だって聞きたいくらいだ
むしろ聞かずとも、そうだって確定しても許されるはずなのに。健全な男女二人きりでやって来た着いてからのお楽しみな場所というものは、どこが楽しいのかさえ分からない場所であった
「見りゃ分かるだろ」
確かに見るまでは分からなかった。けれど見て分かるのはただ一つ、全く楽しくない場所という事だけだ
というのは私だけで一方のサソリさんは何だかとても楽しそう。
それもそうだ、健全な男女二人きりで来た場所とはデートスポットでは無いけれどもサソリさんにとってはお楽しみスポットなのだから。
「サソリさんが好きそうな物がたくさん売っているのは見て分かります」
「ああ、そういうこった」
どういう事だ、と聞くのはやめた。
見て分かる通りなのはここが私にとって楽しめない場所だという事だけじゃなく。
サソリさんが好きそうな傀儡のパーツが売っている場所だという事も見て分かった。
「つまりこうなるんですよね」
それが分かると必然的に、私が荷物持ちで呼び出されたという事も分かった
「そういうこった。いくら中身が俺とはいえお前のひ弱な体じゃろくに物も持てねーからな」
この時ばかりはこの体を憎む。
何が体入れ代わっていようとデートには違いないだ。これはデートなんかじゃない。
所謂……………何だ。
「うう、重い……」
「サッサと歩け。帰りが遅くなるだろうが」
こいつ、体が私なのを利用して私がサソリさんの体をしている事を良いように利用している。
所謂あれだ。私を好き勝手しているというわけだ。
「やっぱりもう帰るんですね……」
「当たり前だ。他に用が無ェーって事はこの後どっか行くにしろ」
「もういいです分かりました」
どっか行くにしろどこへ行くか考えなければならない。という事はつまり、考える時間=待つ時間でもあり待たす時間でもある。
どちらも嫌いなこの人が素直に考えてくれる訳が無いだなんて言わずとも簡単だ。
これのどこがデートだというのだろうか
「もうサソリさんとお出かけなんて御免です」
例え体が入れ代わっていようがいなかろうが関係ない。もううんざりだ、と思ったのに。
「体さえ戻りゃその必要も無ェーが……もうやめだってなら金輪際、声かけねェーよ」
「…………!」
「残念だなァ、テメーが行きてーって言うなら連れてってやらねェ事も無かったけどな」
「………え、えっ、あのサソリさんそれってそのあの」
「ああ?行きたくねーんだろ」
「い、行きたく…ッ…無い訳ないじゃないですか」
それってサソリさん、体がまた入れ代わっても誘ってくれるって事じゃないですか
デートですか
これはデートじゃないけれど、その日が来たらデートになるかもしれないって思っても良いのでしょうか。
「もう御免だって言いやがったじゃねーか」
「こんなデートも悪くないと思ったんです」
おわり
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