番外編
デートですか
【こんな恋も悪くはない!の番外編になっておりますので、名前さんとサソリの体が入れ代わっています】
サソリさんに言われたのは間違いではない。
確かに私はサソリさんに「明日は予定空けとけ」と言われた。夢かとも思ったけれどそれも違う。
何故なら私は寝ていない。
「よし、支度出来てんじゃねーか。サッサと行くぞ」
待つのも待たすのも嫌いなサソリさんと同じだ。私も今日が待ちきれず、ろくに眠りもしなければ一人きりの部屋で身支度という一夜を過ごした。
だってつまりこれって、デートじゃないですか。所謂デートってやつじゃないですか
体は入れ代わっていようが関係ない。
何故ならばデートというものは男女二人きりでするものだからだ。例え体が入れ代わっていようと男女二人に変わりはない。
「の前に……前言撤回だ。サッサと支度しろ」
「え?できてますよ準備バッチリです」
「それのどこが準備バッチリだって言ってんだああ?テメー、俺の髪に何付けてんだ」
やっぱり体が入れ代わっている事だけは関係あった
「せっかくサソリさんとのお出かけなんでオシャレのつもりでつけたんですけどね…髪飾り」
「シャレになんねーよ」
「え?オシャレですよサソリさん、オシャレ」
例えこれが所謂デートというものだとはいえ、体はやっぱりサソリさん。
それは皮肉にも一人の女の子として、好きな男の子とのデートを楽しむ事は許されなかった。
「サッサと行くぞ」
「はーいっ!」
それでもデートはデート。
やっぱり今日くらいは私でありたいものだ。
「ひっつくな」
今日だけでも駄目でした
今はアジトじゃないわけだし、二人きりだし、デートだし、 良いよねなんてどさくさに紛れてひっついたら躊躇無く拒絶された。
「すみませんごめんなさい謝ったのでそんなに睨まないでサソリさん」
体だけは自分だから、嫌なのだろうという事にしておこう。
それでも中身だけは私。きっとサソリさんってば照れているだけなんだ。
「ところでどこに行くんですかサソリさん」
「ああ、言ってなかったか。まぁ着けば分かる事をいちいち答える気は無ェーが」
ほらやっぱりサソリっさんってば。
これってつまり、デートスポットって事じゃないですか。着いてからのお楽しみってやつじゃないですか。
「それは着くのが楽しみですね!」
「そうか、テメーも楽しいってなら呼んで正解だな」
サソリさんがククッて笑ってる。
何だろう、すごく楽しそうなはずなのに、すごく恐ろしい。
【デートですか続に つづく】
[次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!