愛のない人間だからこその愛し方 「サソリの旦那、まじなのか」 「え………」 サソリさんは名前の物ってまじなのかと聞かれた。 言うまでもないが今サソリの体は名前であり、名前の体はサソリである。 従ってサソリは名前の物だと言ったのは、サソリさんだ。 「間違いではないけど…」 「そうか、まじなのか…」 間違いでもないが、それはサソリさんがサソリさんの体は俺の物と言ったのである。 私の物というのは間違いだ。 まじなら良かったのに。 「近付くなって釘打つくらいだもんな……サソリの旦那、相当愛されてんぞ」 「え……まじですか」 どうやらまじらしい。 もしかしてサソリさん、サソリさんの体した私は俺の物だって言ってくれたのだろうか。 そんな訳ないのに、そういう訳だって思いたくもなる 「サソリさん……あなたって人は」 愛してくれているのですか。 [*前へ][次へ#] [戻る] |