良くない
「ごめんなさい」
そこに反応したのか、他に反応したかは分からないけどサソリさんはそれ以上何も言わなくなった。
「あの、サソリさん」
「……………。」
自棄に無言なサソリさんは怒っているか、何かを考えているかのどちらかだ。
「ごめんなさい」
怒っているに賭けてひたすら謝った。
「………テメー、今」
「…………今?」
「何て言いやがった」
その賭けはどちらに賭けようと負けだ。
サソリさんは怒っている訳もなく、何かを考えている訳でも無かった。ただ単純に困惑していた。
「俺が抱かれるのも嫌って言いやがったのか、テメー」
「言いましたが何か問題でもありますかサソリさん」
「大有りだ」
このサソリさん、見た目だけはあら不思議。私をしているものだから、私は気付かなかった。
必然的にそれは……
「…………あ。そういえば私の体サソリさんでしたっけ」
本人を前にして告白をしてしまったのだと。
「テメー自分で言ってたくせして何言ってんだ」
何度もサソリさんに私たち二人は共同体なんだと説明をしたのは自分なのに、いざという時の自分はこれだなんて。
サソリさんの体だけれど、顔が赤くなっていくような気がした
「ほらな、だから言ったんだ良くねーってな」
「え?あれは飛段に抱かれたかったって意味じゃなかったですかサソリさん」
「殺されたいのか」
それはやっぱり良くないようです。
と言いたいのなら「良かったですね」と言った私に、ああそうだね良かった良かった。と返しても良いはずなのに。
良かねーと返したサソリさん
何が良くないんだ。
「この体のままってのが良くねーんだよ」
だから飛段にも引っ付かれるんだ、と付け足すサソリさん
「なるほど」
そして、肝心な告白も事故みたいになるんだと付け足す私。
これは確かに良くないね
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