隠せぬなら、隠してやろうではないか 何とかなったのはそれだけで実質、何とかしたい事が何とも出来ていない。 「うわ、やっぱり出ない」 出そう出そうと試してみても、あの意地が悪い旦那の体は言う事を聞いてくれなかった 出た!と思ったら、チャクラ糸の先がほんの少し風に靡く程度だ。これじゃあ…… 「何か、ちょっとした特技みたい……」 こんなに繊細なチャクラ糸では傀儡を操るなんて不可能だ。 つまり「指先から糸が出ますよ」的な、小さな特技にしかならないのだ。 これはヤバい、核がとてもヤバいぞ。 「あっ…!」 おまけにこの特技、本当に小さな特技にしかならないらしい。 小さなチャクラ糸を出すだけでも苦労したというのに、消える時だけは糸も簡単だった。 難しいぞこれ。 「旦那、」 「何、デイダ……何だクソちょんまげ野郎」 「……………。いや」 何が難しいといえば こいつの目を盗みつつ、こいつの隣を歩きつつ、チャクラ糸の練習をする事が一番の難儀だ。 何とかなったとはいえ、らしくない事を気にしているのかチラチラ見てくる。 いっそう、もう片目も隠してしまえとこの時ばかりは思った。 「旦那、もう着くぞ」 「……!」 そいつが隠せずとも、せめて自分だけは隠さなくては。 傀儡人形を操れない傀儡師だということを。 [*前へ] [戻る] |