何かあった自分と、答えてくれない自分
「ただいまサソリさん核は無事です!」
帰ってくるなり、核の安否をあいつは主張した
あいつもあいつで心配しているのかもしれないと思ったのだろうか。
あいつじゃなく、あいつの体という名の自分を心配しているかもしれないと。
「あの、サソリさん……?」
「遅ェーんだよ」
核が無事だなんて分かっていた事を心配する必要はなかった。というよりも、必要が無くなったというべきか。
帰ってくるなりあいつにピタリと引っ付いていたデイダラが、そう言っていた。
「怒ってます…?よね、サソリさん」
体が無事なら怒る必要も無い。といえ、他に怒る必要が無い訳でもない。
「待たせた事ですか?」
待つのが嫌いな人間を丸一日も待たせている。怒らない訳もないが、怒っている訳でもない。
それは、
待つ必要も無かったからだ。
どうしてこんなやつを待たなければならないか。
核も体も無事だって分かっていながらご丁寧に待つ必要は無かった。
「なら他に何かあったんですか?」
ならどうしてこうも気が気で無いか。
自分に何があったかなんて、自分でも分からないものである。
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