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今は無理でも

「俺の為だとは随分と舐めた口きくじゃねーか」

舐められていると見込んだ上でサソリさんは聞いてやる気満々だった。
この人は相変わらず変なところで好奇心旺盛だ。どうしよう


でも下手な演技だと気付いてはいないらしい。


「良いですか、私がサソリさん以外と任務に行けば傀儡が操れないとバレます」

「で、それが何だ」

「それがサソリさんと行けばあら不思議、バレません」

「で、何が言いたい」


「つまり惚れた事にする事でサソリさんと任務に行けるようになります」

「で、」

「以上です」

「…………………」


サソリさんはとうとう何も言わなくなった。



「どこに俺の為が含まれてたのか答えやがれ」

数秒で何か言い出した

「サッサと答えねーと殺すぞ

数秒で答えないと危うくなった

どうしよう。
演技は終演したってサソリさん気付いてくれない。

「ごめんなさいでも私たち共同体なんですよサソリさん殺さないで下さい」


はじめからそう言えば良かった
いや、何度も言ったはずなのにサソリさんは今ようやく理解したのかピタリと手をとめた。


「テメー覚悟しておけよ」

「え、いつ覚悟するんですか!今ですか!」

「……この体が戻った時だ」




ピタリと制止した手が再び動く日も、そう遠くは無いのかもしれない。

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