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サッサと戻りたい一心


「よく思い出して下さいサソリさん」

「ああ?」

「良いですか、あの時の事ですよあの時」

こいつは、体が入れ代わった時の事だと話した。
けれど思い出せと言われたサソリが思い出したのは、自分自身の体を傀儡にした時の事だった


「だからサッサと術解く必要があるって言ってんだろうが」

「本当にあの時の事思い出したのサソリさん!そのわりには返す言葉が違うよ!」


久方ぶりに人間の体になってしまったサソリにとって、それはあまりにもぎこちないものだ


「あの時私とサソリさん以外に誰も居なかったじゃないですか!誰かが術をかけるなんて無理です無理矢理でも無理があります馬鹿の意見ですか」

「テメー言わせておけば図に乗りやがって」

単純にこいつが嫌いだからか、極端に女の体が嫌なのか、それは分からないけれど久方ぶりに感じる人間らしい体温が嫌だと思わない自分に嫌悪した。

サッサと術を解く必要がある。

このままが続くたび、傀儡であった思い出が消えていくような気がする。

「いちいち表に出なかろうが術かけるなんて容易いこった」


言われてみれば容易くはないが可能な話でもあった

「問題はリスクだろ。まだ術が解けねーって事は相応のリスクが尽きもんだ」

「あーだから、サソリさんは一人一人を調べる気なんですか」


一人一人聞きに行くとは、術解けという脅しをかけにいくという意味では無かったらしい。



「やっぱり馬鹿じゃなかったんだねサソリさん!安心しました!」

「いや………」

「?」

「………いや、何でもねー」



馬鹿みたいな気持ちをサッサと消すためだとは言えず。

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