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君と僕のスイッチ―WJの活躍により精製された白蘭夢。ほのぼの。






びっくりしちゃうかな。

…僕にも昔からの幼馴染、みたいなコがいるんだよ。


どんなコかって?勿論―


秘密。








「また会議抜け出してきたんですか?」

背中からかけられた声とため息に僕は彼女だろうとあたりをつけた。


だって僕に意見できるのって君くらいだもんね。


すっとした顔立ちに白の隊服。黒い髪はひとつに束ねられている。

いつも通りの君が呆れた顔して立っていた。


「一応、ミルフィオーレファミリーのボスなんですから
会議抜け出してレオさん困らせるの辞めて下さい。レオさんが
正一みたいに腹痛持ちになったらどうするんですか。」


「え〜?彼は大丈夫だと思うよ、意外とね」


含み笑いで答えてみせれば更に大きなため息となって返ってくる。

あらら


「可愛い顔が台無しだよ、紫騎ちゃん」

「…名前で呼ぶのも辞めて下さい、一応ボスなんですから」


彼女はやけに一応を主張してくる。まあいいんだけど。


「ボスって関係あるの?自意識過剰だなー君は」

「な、なんでですか!?」


「皆名前で呼んでるよ〜正チャンなんか愛称でしょ?」

「……確かに私の国とは違いますけど…苗字で呼んで欲しいんです。」

「何で?」
「普通に呼ぶならまだしも…呼びかたに他意を感じます」


「うわぁ、」


僕は大袈裟に目を見開いて声を上げた。
紫騎ちゃんって鋭いなぁ。


「な、んですか?」
「正解。他意はあったりなかったりね」


「……ボス、変なスイッチ入ってません?」

「わかっちゃった?紫騎ちゃんいじめスイッチ作動しましたー」


「いじめは格好悪いですよ。ましてやボスが主犯なんてもっての外です。
どうしてもというなら私いじめの分は正一へ昇華して下さい」

「それ言ってること矛盾してない?」

「お気になさらずに。さて、会議に戻りましょうか」



「え〜今から?正直面倒だなー」

「正直になりすぎです。……でもあと20分ほどで終わっちゃいますね…」


時計を確認してふぅ、と嘆息する彼女に僕はびびっときた。

そうだ、ここは紫騎ちゃんに一つ提案してみよう。


「ねえ、今からちょっとお茶でもしようよ。」
「…二人でですか?」

「そうそう。一緒にいてくれたら、例の書類すぐ提出するから」

「!…わかりました、そういうことなら。」


途端に彼女の表情が優しくなった。

僕が面倒だと渋っていた書類を出すと言ったから世話係として助かるんだろう。


「その代わり」
「へ?」


「今日くらい白蘭って呼んでね♪敬語もバツだよ〜」
「…白蘭さん」

「お!言えるじゃない、その調子!」

「敬語なしは無理ですね」
「どうして?」


「今は仕事中です。白蘭さんはボスであって私は
一端の世話係です、フツーの人ですよ」

「同郷のよしみなのに?」


「…それはそれです。」

「冷たいなぁ…書類の提出、未来永劫辞めようかな」


「うっ、卑怯な」


紫騎ちゃんがあからさまにダメージ受けたような顔してるから
ついおかしくて笑っちゃった。


「ははっ、変な顔」

ちょっと正チャンとキャラが被るよね。
日本人って皆こんな感じなのかな。


「うう〜どうしよう…いい加減にあの書類提出しないと私の面目が…でも」


「いいじゃんいいじゃん、今日は無礼講だよ。
…それに紫騎ちゃんはフツーの人じゃないよ」


「……?」





「僕の一番、大切な人」

「!」





「だったりして」




「……あのですね」
「ん?」


ちょっと顔が赤くなって可愛いなぁと思ってた
彼女の息がすっと吸い込まれる。



「いい加減にして下さい!!!」

刹那、大きな雷が僕を直撃した。

彼女がスイッチをONにするのはかなり早いらしい…
僕への怒りに関しては。






「全くもう…いい加減にしないと愛想つかすよ、白蘭さん?」

少しからかうような口調で言葉遣いを崩す彼女。

君は僕と二人きりのときにだけ、昔のように接してくる。


その瞬間が、なんだかとても好きだと思うのは僕だけかな。

昔が好きなんてことじゃない。過去なんて
どうでもいいからね、「彼女以外」の部分は。


「紫騎ちゃん、行こうか。美味しいお茶菓子出してあげるね♪」

「…私以上に甘党な男の人って白蘭くらいだよね」


そうして僕は今日一日紫騎ちゃん独り占め権を手に入れた。

うん、なかなか有意義な時間だったね。


「紫騎ちゃんに会えるなら毎回会議サボろうかな」
って言ったら全力で止められたけど。


今日だけじゃなくて毎日君と遊べたらいいんだけどなー。


「あ、そうだ。明日の会議に出て欲しかったら明後日デートして?」

「却下です」





残念、振られちゃったか。


(でも諦めないよ?会議って今月一杯あるし♪)
(はいはい……普通に誘ってくれたら行くのに)






――――――――――――――――――――――

久々にあとがき

こんばんは、只今深夜3時すぎ。…眠いです黒澤です。
最近夜更かししすぎだ。


おっと、横道逸れちゃいましたが今回は今週のWJの
「幻騎士の最期」(だったかな?)で

幻騎士の過去話が印象的だったので白蘭さん話を書いてみました。


え?話の流れがおかしい??

…いえいえ幻騎士の過去にでてきた時の白蘭さんが格好よすぎて

そんなキャラだったんだ!?これなら話を作らなきゃ!
ということで今に至ります。


「後は自分で決めな」が格好よすぎてもう…!
そんな口調もしちゃうんだ!!って感じでした。


「百蘭」だと思ってたのですが「白蘭」だったことにも
気づけちゃうほど今週の彼は男前でした。


勿論、幻騎士の忠誠心にもすごく感銘を受けました。

信頼出来る上司だと思っていけたことは幸せですよね。
…通信が途絶えててよかった。

悟ったかのようにもみえる彼が最後に口元に笑みを
浮かべて「神はいたのだから」と言ったあのシーン!


間違いなく今週のハイライトです!


…あ、ただの感想になっちゃった


ちなみにですが…今回はシリアス風味を辞めてほのぼのにしてみました。

本当は…




白蘭の故郷で彼は(マグマ風呂に入ってたあの人みたいに)
紫騎ちゃん以外を全員抹殺していてそれを
彼女に知られたくないけれど、言ってもみたくなる。


そんな心境も書いてみようかと思ってたのですが……
辞めました。


更に更にのちなみにですが

白蘭に告げられた彼女は(←結局告げちゃう)


同じ故郷出身のただ一人の信頼している人を失い
憎いと、抹殺してやるとまで思っていた人物の出現に

どうすればいいのかわからなくなりますが…



結局紫騎ちゃんのとる道は一つです。

…どうするんだろう?(おい)

09・07・10 黒澤涼子


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