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交錯する極彩色
八話


「メルさぁん!起きてぇ!」


「……ぅん………」


…メルさんをなんとか起こして、居間に行ってみる。未だカイトたちが酒盛りをしているはずなのだが…。


居間はあり得ないほど静かだった。灯りはつけっぱなし、酒瓶とグラスも出しっぱなし…明らかに何かあったのだ。ロウレスさんが出しっぱなしにしたまま何処かへ行くとは思えない。

当然生まれる疑問…ならば、何処に行ったのか…その答えはあっという間に出たのである。


「オラァ!」


「んだよ弱っちいな!腰入れろ腰!!」


「人の酒盛り邪魔しやがって!」


「んなんじゃ教官に殺されんぞ警察!」


けたたましい喧騒の音と、聞き覚えのある方々の雄叫び…酔ってるからだろう。警察側からすればもう泣きたくなるくらいの惨状を、音だけで察することができた。

時折窓の外に見える人影が、小さな人影を殴り付けていた。とても可哀想すぎる。彼らは何も悪いことはしていない。


「…あちゃ…」


「…………酔ってるから…何しても…無駄だよ」


俺にもたれ掛かってまた一眠りしようとするメルさんが言う。彼らと古い友達であるらしいメルさんが言うのだから、それは嘘偽りない事実だろう…その言葉に絶望を感じた。

しばらくして、喧騒の音が聞こえなくなる…かと思いきや、


「…んだテメェ…弱っちいパンチしてんなぁ」


これは恐らくロウレスさんの方だ。

するとこっちは、


「アァ?テメェの猫パンチよりはましだってんだよ…」


カイトさんだろうな…非常に嫌な予感がするのは俺だけじゃないだろう。


「んだと?やるかテメェ!」


「望むとこだぜ…両脚へし折って、パンケーキしか作れねぇようにしてやんよ!!!」


ドゴッ!

ドガッ!

バキッ!

ドゴッ!

ドガッ!

ドゴッ!!



ドゴォォオオン!!!




…?
なんだろう今の音は…先ほどまでとは段違いに強い拳の音だ…とすると、カイトとロウレスさんの喧嘩に仲裁にでも入ったんだろうか。
…ぇ誰が!!?


「………ぁ……教官…」


「教官!?見たい!」


メルさんの呟きに、ヘルザが閉じらまでかけていった。メルさんは、珍しく起きていて、俺に凭れるのを止めて、ヘルザの後を追った。
…あの人普通に歩けるんじゃないか…。


すっかり出遅れてしまったので、俺も慌てて見に行った。






「バカ者ぉお!!!」


「「すいませんでしたぁ!!!」」


正座…膝の上に石が乗ってる…拷問を受けていたのはカイトとロウレスさんだった。先ほどまでとは打って変わって、すっかり大人しくなり、酔いも醒めているようだった。


そして仁王立ちで二人を見下ろし、両手合わせてあと10個ほど石を持っているのは、ロウレスさんに負けず劣らずの体格をした獅子獣人だった。





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あきゅろす。
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