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交錯する極彩色
十ニ話


(バルトside)


辺りに、静寂が訪れた。先ほどまでしていた乾いた発砲音も、今は無くなっている。

その路地に立ち尽くしているものが、二人。体に怪我を負い、気絶しているのが五人…、普通に気を失ったのが一人。幸い俺たちは無傷で済んだ。


「…ふぅ、ありがとな、バルト」


はにかみながら、カイトが言う。安堵、安心感で、俺も思わず笑いかけた。


「あぁ!…それより、ヘルザだ」


あまり焦った様子もなく、カイトはヘルザに近づいていく。倒れそうになったところで、とりあえず体を支えてから地面に寝かせたが、放置しておくのも良くはないだろう。


「おい、ヘルザ…大丈夫か」


いつもより優しげな口調のカイトが話しかけるも、起きる様子はない…大丈夫かな?


「…まぁ、単に魔力の使いすぎだからな…バルト、魔力を移せるか…?」


「魔力、をうつ…?ごめん…俺、魔法とか使えないんだよな…」


…なんか申し訳なくなってくる…そろそろ覚えた方が良いのかな…?


「いや、謝らなくても…まぁとりあえず、魔法が使えるやつを探すしかねぇか」


そう言って、軽々とヘルザを担いだ。
話を聞いたところによると、魔力を使い果たした影響で気を失ってるだけで、体には問題ないとか…何日間か寝たままらしいが。それをなんとかするには、誰かに魔力を注いで貰えば良いらしいが、俺とカイトにはできない…。不甲斐ないな。


そういえばなんでそんなこと知ってるのかと思ったが、そういえばカイトは医者だった…どうも雰囲気が武闘家だから、つい忘れてしまう。筋肉スゴいし。


カイトの背中に寝るヘルザは、非常に安らかな顔をしていた。







…あ、やっとだ。


「…着いたな」


「…もう朝じゃないか…」


「あの町長もっと殴れば良かったな…」


しばらく町を歩いて、とにかく北に向かったら、やっと町の外に出れた。かなりの大きさの門みたいなところを通ったんだけど、特に門番も居なかった。

目の前を見れば、荒野…ではないが、所々民家のある田舎っぽい雰囲気の道が。ギリギリ町に住めなかった人はここにいるのだろう。
先ほどまでの道とはうって変わって、ぼこぼこした、整備されていない道が目の前に伸びる。この道をひたすら通れば、港町に辿り着けるらしいのだが…気力が起きない。


「…行くぞ」


気力云々じゃないな、行かなければ。




目の前の石を蹴飛ばしてから、足を踏み出した。





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