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交錯する極彩色
九話


ごはんを食べ終われば、いよいよ出発だ…もちろんその間にも色々することはあるんだけど、描写が細かくなるので割愛…って誰に言ってんだろ。


短い時間だったけど、良いとこだったな、この町…とゼルトの家。

いつか…住んでみたいな…とか思わなくもない。その辺はちょっと曖昧。別に今の山での二人暮らしも楽しいしね。

ただ、カイトが買い物に行って、ゼルトを運んだあと、あの家に一人でいるのはけっこう寂しかった。クッションのおかげで気は紛れたけれど。

…バルトは、あの家でいつ帰るか分からないゼルトをずっと待ってたんだな…って考えたら、可哀想に思えちゃって。
二人が仲直りしたら、ゼルトに言わないとね。




行きは長く感じたこの大通りも、帰りはずいぶん短い…多分、人が少なめだからかな。興味の対象が減ったから。

カイトもいつも通り、ゼルトは…あちこち目をやって、周りを警戒してるみたい。


「…どうしたの?」


ちょっと近寄って聞いてみる。


「……気配を感じる…尾行ではないが…見られている……」


「…でも誰が…?」


「……分からない…が……」


そこまで聞いてカイトが総括した。


「んまぁ用心するに越したことはねぇよな。列車に乗ってもまだ感じるみたいだったら考えればいい」


もっともだ、と僕たちは返事を返した。












「…やはり…尾行されているかも…な…」


また色々な過程を割愛して話を進めるけど、僕たちは今列車に乗って五分、ってところ。窓の景色を楽しんでいると、ゼルトが呟く。


でもよぉ、とカイト。


「誰が俺たちなんか尾行すんだよ…?」


「……親父と関係しているかもな…」


「…お父さんの知り合いか手下が、ゼルトを監視させてるってこと?」


でも家を出る前までは無かったはずの気配。ということは、ゼルトがお父さんのところに行くと決めてから尾行を始めたことになる。

…それじゃあなんで?


「……あの家に盗聴の魔法が仕掛けられている可能性も考慮しよう…」


「盗聴…何のために?親父さんがゼルトを見張る理由なんて無いだろ?」


「……親父の考えは……俺にも読めない…」


…結局誰にも分からない、ってことでこの話は終わり、普通に過ごすことにした。




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あきゅろす。
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