交錯する極彩色 五話 辺りに緊張が走る… という表現をしたいところだが無理で、ガロンさんたちは非常にリラックスをしていた。 理由には個人差あるとは思うが、一つは場数。これまで何度魔物と戦ってきたのだろう…準備運動をしている人もちらほら見られた。 …すると、 […心がざわついているな…] 「わ、ぇ…起きてたのか?」 [俺は寝ない。黙っているだけだ] そ、そうなのか…と、俺の持つ武器、[安らぎ]に言う。 これは、ガロンさんが作ってくれた武器で、何故か意思と知能を持っている。理由はガロンさんにもわからないらしく。詳しくは第十五章に記述…って俺は何を言わされてるんだ? [脚注のようなものだ] 「えっ?」 [何でもない…がそれより…そろそろらしい…] 言葉を聞き、さらに耳を澄ます…と、さらに響くドシン、ドシン。鼻をひくつかせると、魔物の独特な体臭が臭ってきた。 [……あと十秒ほどで目視できるようになる] 「十秒…?」 やけに細かく教えてくれるな…っていうかどういう理屈で分かったんだろうか。 …そしてきっかり十秒。 夜の闇に紛れて、何やら巨大なものが、こちらに迫っている姿が見えはじめる。ぼんやり…という言葉が正しいだろう。 「っ…迎撃、包囲用意っ!」 ガロンさんも大きな声で指示をする…皆が魔物に視線を向けた。 […ヒトガタ…スペッシュ種だ、アルキライトスペッシュ…炎属性の攻撃…炎耐性も強く、比較的攻撃的な性格] 「な…何でそんなにわかるんだ…?」 [俺には分かる…ヒトガタの魔物の弱点は獣人と同じだ…首の頸動脈を狙え] ヒトガタ…?頸動脈…? 俺はあまり魔物には詳しくないので、全く分からなかった…。 少し説明してもらってから、首が弱点だと知り、魔物を見据えた。 …ついに、全貌が明らかになった… その姿は、まさに巨人…人と言っても、獣人とはかけ離れた姿をしている…そもそも体毛が無く、皮膚が露見しているのだ。 そして何より奇妙なのは、腕が八本もあることだろう。肩から左右四つずつ…過ぎたるは及ばざるが如し、ということわざを知らずに生まれてきたんだろうな。 昔、巨人と獣人の祖先が同じではないかと…つまり、進化の過程で枝分かれした存在なのでは、と説が浮上したが、あまりにも外見と知能に差があるため否定された。 …って、そんなこと考えてる場合じゃないんだったっ… 【*前へ】【次へ#】 [戻る] |