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交錯する極彩色
一話


(カイトside)


ガタンゴトン…と揺れる。

思えば、列車に乗ったのなんか十数年ぶりだ…軍隊の緊急移動時なんかには列車を使ってたな…まぁ、ほとんどが貨物列車だったから、景色を楽しむことなんてできなかった…そんな意味でも、今一般の列車に乗っているのは新鮮だ。


右隣の窓際に座っているのはヘルザ…先ほどまでは外の景色にはしゃいでいたが、疲れたのか今は寝ている。
左隣の通路側に座っているのはゼルト…列車は何度も乗ったことがあるのか、特に興奮した様子もなく、何かを考えているような風貌だ。


「おいゼルト、」


「…なんだ?」


一度体がピクッとした…そんなに集中してたんだな、んで若干面白かった。


「到着は何時ごろだ?」


「…あと五分ほどで乗り換えだ…ヘルザを起こさないとな」


時計を見てからゼルトが言う…五分…って、案外短かった。多分次の駅で降りるんだな。
ゼルトから説明を受けた限りだと、最初の駅から目的地の駅まで約一時間…一回乗り換えをして行くらしい。一本目の列車で二十分…今乗ってるやつだな、あと五分で到着だが…乗り換えする次の列車で三十分弱進めば、ゼルトの住んでいる町の隣町の駅に着くらしい。列車ってほんと早いんだな。


「ゼルト、さっきから何考えてるんだ?」


「…バルトに何と声をかけようかと…まともに目を合わせられないかもしれない」


「………。」


…真面目だよな、どこまでも。
確かに、ゼルトとバルトの関係は微妙なものだし、謝り方云々より、どっちが悪いとかも不鮮明だ…声をかけるとこから考えるのも無理はない。
しかし、そう固くなるのもどうかと思う…バルトも喋りづらくなってしまうだろうし、気まずいだろ空気が。
真面目なところはゼルトの長所ではあるのだが、短所にもなり得るんだとなんとなく学んだ。


「…にしても、バルトは今何してんだろうな…」


「…そうだな」


前にヘルザが拾ってきた新聞によれば、メイド喫茶で働いて…ほんと何やってんだか。
しかも、そのメイド喫茶に押し入ってきた強盗を、客と協力して捕まえたと書いてあった。ますますバルトの行動が謎めいて、ゼルトも心配そうだ。


「…まだメイド喫茶にいんのかな?」


「……っ…」


「……今絶対メイド服のバルト想像しただろ」


「……何の話だ」


「とぼけんな、っ…ってなっただろうが」


「…さぁな」


「…誤魔化しやがって」




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あきゅろす。
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