交錯する極彩色 一話 (バルトside) 「よしっ!では出発するぞっ!各自忘れ物はないなっ!」 「ガロンさんっ!バナナはおやつに入りますかっ!?」 「バカ者っ!入るに決まってるだろっ!」 「……………」 …あ、最後のは沈黙は俺だ…なんなんだろこの人たち。 ガロンさんに言われた最後の依頼は、遠い土地に複数現れたという謎の魔物の調査と討伐…。 当然遠征任務になることを、ガロン含め、ギルドメンバーは喜んでいた…。 実は、最後にこの依頼を選んだのは、ガロンさんの心遣いだったりする。 ガロンさんたちの調査のおかげで、ゼルトがいるかもしれない場所見当がついたらしい。 すると偶然にも、その場所の近辺に討伐任務が入ってきた。 要するに、依頼を三つ終わらせて、そのままゼルトに会いに行けということだった…。 そんな気遣いをしてもらって、すごく嬉しくて感動した…もちろん、必ずしもゼルトがそこに居るとは限らない。 でも、ガロンさんたちの信頼できる人からの情報らしいし、仮に居なかったとしても…後悔はしないだろう。 また、一から探せばいいのだ。 …とか、結構いい雰囲気だったのに。 ガロンさんの気遣い、心遣いにより今回の依頼を受けることになったが、ガロンさん自身も喜んでいて、遠出にはしゃいでるそうで。 …どっちかって言えば、心遣いより遠征の方が理由だったんじゃないかなぁ…みたいな。 ダメだダメだ、せっかくのご厚意なのに。 「バルトっ!お前はどう思うっ!?」 「ひゃっ、な、なんですか…?」 不意にガロンさんに話をふられ、聞いていなかった俺は思わず驚く。 …確かバナナがどうとか…? 「…可愛…じゃなかった、聞いてなかったかっ?」 「は、はい…」 ガロンは最初顔の筋肉を緩めたと思えば、至極真面目な顔をして。 「バナナはおやつか否かっ!?」 「バ、バナナ?…はフルーツじゃないかと…?」 「…そうか、分かった!バナナはおやつに入らないっ!」 ガロンさんは、大声で、総勢十五人余りのギルドメンバーにいい放った…各々から、よっしゃあ!とか、あと一個買えるぜ!…とか。 賑やか…で片付けてしまって良いものなのか否か。判断しようがないか。 「今回の旅の経費は、俺達が頑張って働いて貯めた貯金っ!そして、メイド喫茶でのバルトの報酬を使わせてもらえるそうだっ!バルトに礼っ!」 「「「「「「ありがとうござぁいまぁーすっ!!」」」」」」 「ぇ、ぇえ…ぁ…はぃ」 …ちょっとだけ怖い…い、いやっ!ビビってないからな! 【次へ#】 [戻る] |