風紀委員長さん!
肘丘 勝綺(side蓮一)
つい今しがた私のファンクラブというものに入っている華奢な少年と性行為していた空き教室から出てからすぐ、向こう側の廊下から何やら人影が見えた。
私より幾分か高い身長に逞しい体格。
そして私が嫌う金髪で制服は着崩していた。
なんとも目を覆いたくなるだらしなさであった。
それを見てやはり私はそのまま見過ごす訳がなく、その人物の元まで歩いていくと
「おい貴様、風紀を乱すな。ボタンは第一ボタンまで閉めろ。襟も開けるな。ズボンを上げろ。ピアスも髪を染めることも禁止だ。」
と片っ端から指摘してやった。それでも奴は私のことを暫し睨みつけるとあろうことかそのまま何処かへ行ってしまおうとばかりに私の真横を抜けて行こうとしたのだ。
この私が折角注意してやっているのになんだこの態度は?解せん。
頭に血が上り、気が付けば私は其奴の腕を掴み此方を向かせ私自ら制服の乱れを直してやっていた。
さすがに此奴のズボンまでは触れたくなかったので第一ボタンまで閉めてやり
「あとはそのズボンとピアス、髪を直せクズが。」
こいつはクズという言葉が似合うな。とばかりに相手を見遣ると奴も私のことを見つめていた。
しかも何か驚いたように目を見開いて私を凝視している。
私のどこに驚く要素があるというのだ。
「...どうしたク「勝綺だ」
私の台詞に被せるな。それになんだ?勝綺?それはこいつの名前か?
「私は貴様の名前等聞いていないが」
クズと呼ばれたことが気に食わなかったんだろうか、まぁ当然だな。
だが教えられたところでクズの本名を呼ぶ気は無い。
「俺の名前は勝綺。肘丘勝綺だ。勝綺って呼べ。それ以外は認めねぇ」
...何様だこいつは?
「それよりお前、なんつーか、」
...あぁ、じれったい。言いたいことがあるならさっさと言ってしまえばいいものを。
「私の名前は須藤蓮一だ。貴様、私には名前で呼んでおけと言うのに貴様自身は呼ばんのか?とんだ非常識者だな。
それより言いたいことがあるならばさっさと言ったらどうだ?」
全く不良というものは常識が無いから怒りが沸いてくるのだ。苛ついたので少し怒気を含めた声で言い放つ。
「...れ、れん、れんい、ッ...は、他のヤツと、ヤッてんの、かよ」
何故か私の名前を満足に呼べず、結局ちゃんと言えていない。そんなに私の名を口にすることが嫌か。フン、私もだがな。
ん...?そういえば場違いなその質問をされたような。先程の空き教室でのことを見ていたのだろうか。
「合意の上での性行為は認められている。」
...まぁ、私がそういう暗黙の了解のようなルールを作ったのだが。
するとクズはあらかさまに顔を歪め、私を壁に押し付けた。
さすがにこの体制だとクズの方がやはり高いと思い知らされる。不愉快だ。
先程の歪めた顔はどこへやら、口角を上げると
「...性行為は、な」
その言葉に抗議しようと口を開いた刹那、
クズに唇を塞がれてしまった。
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