小説 時空の旅人と疾風の黒騎士の軌跡
Memory's 03 〜炎ノ戦騎(センキ)〜
ロストロギアか…さてと、この単語が出て来たって事は間違いなくとんでもないものに足を突っ込んでしまった…という事になる。
ロストロギア、大まかなものを簡単にまとめると…
"超古代魔道具"
で良いのか偉い人?
その魔道具を巡った戦いが、このミッドチルダ周辺の世界では良く起きる。例としては…最近だと"レリック"と呼ばれるロストロギアを巡った事件があったが、その辺は現在放送中、またはDVD-BOXが絶賛販売中のなのは本編を見て欲しい。
《相棒、いくら説明が面倒だからといって、こちらで略すなんて事しないで下さい、お見通しですよ》
お前は人の内心をカミングアウトするような事してんじゃねぇよっ!!
《そんな事より、マイスターに黙って私達だけでロストロギアを確保するつもりですか?》
解ってる。ミッドに来て間もない、更にまともに魔法を使った事が無い俺が、結構危険な代物を確保しようとしてんだ。だけどそれでも、あのドS野郎に選ばれた助っ人だ、やれる事くらいやらせてもらうさ。
《解りました。ですが万が一のために私達の場所はGPSでマイスター達に分かる様にします。それと、もし危なくなったら、絶対に目的より先に、命を優先して下さい。い・い・で・す・ねっ!!》
お、おい…そんな強調して言わなくたって、自分の命を投げ出す事なんかしねぇよ。まずはそのロストロギアの反応があった場所に行こうか。相棒、反応があった座標を教えてくれ。
《場所はそんなに遠くないですね。北西に300m、約10分で着くはずです》
さて、行きますか。ミッドでの初めての活動だ、張り切ってやらせてもらうぜっ!!
なぁ、紅蓮…ひとつ聞いて良いか?
《どうした、アグニ》
そりゃあ仕事上な、いろいろ危険な目には遭ってるから今じゃあ慣れちまったよ。だがよ…
《戦士たる者、多くの危険は覚悟しなければならない》
俺達の目の前には、全長約10m、獲物を貫こうとする眼光を放つ鋭い目、鉄を切り裂こうとする爪、獲物を喰いちぎろうとする鋭い牙が並ぶ口、身体には幾多の戦いを乗り超えた幾つかの傷跡が、雄々しい銀の鬣と、白い身体、俺達を威嚇するように唸り声を出しているでっかい猫が1、2…5匹…
「だからってな、毎度毎度こんな事あったんじゃあ、まともに休めねぇじゃねぇかぁああああっ!!」
その5匹のでっかい猫…すなわちライオンっぽい生き物は、俺が叫んだと同時にでかい口を開けて吠えだした。
《アグニ、この世界の生物は殺めれば後々管理局の者達に気づかれる。この場は切り抜けるには》
「るせぇ、紅蓮」
《何?》
どのみち俺達はこの世界全部と戦う事になるんだ、こんなでっかい猫5匹くらい殺ったって変わりはしねぇよっ!!
《…そうか、ならば私は止めない。ただし、目立たず行動してもらう。我々の目的は、その猫達の先にある。そして、今回の任務も通過点でしかない》
「はいはい、そんじゃ…そこのクソ猫共、後悔するなよっ!!」
俺は、右手の平に魔法陣を展開し、そのまま右手を魔法陣に突っ込み、別空間に保管されている自分の武器を引き抜く。鍔は紅蓮の如く紅く、片刃の刀身は全てを焼き尽くさんばかりに炎を纏ぎ、辺りでは陽炎が揺らいでいる。こんな奴ら相手に紅蓮をセットする必要もない。早速先頭の2匹が俺に向かって駆け出し、鋭い爪を向ける。
「遅ぇよっ!!」
俺は右から来る1匹を避けると同時に、脇腹を横に一線切り付ける。切り付けた傷口から炎が奔り、その炎は全身を包む。この剣は、斬った対象のみに斬撃と共に炎熱系魔法で攻撃を与える。この炎は俺の指示が無い限り他の対象に燃え移らない、よってライオンのみこの炎熱と斬撃により燃え苦しむ、そしてこの炎によって与える効果はそれ以外にもある。獣ってのは炎を恐がる習性がある、ほ〜らこうやって他の猫共も……
グルルルルルルルッ
「…………………」
《どうやら、このライオンは火では臆する事はないようだな、この世界の生物は常識が通用しないようだな》
おいおい…1匹殺っちまったせいで、他の猫共が余計キレちまったみたいだな…ったく、ホント…めんどくせぇなぁっ!!猫共がそれぞれに咆哮し、怒りの目で俺を見ている。おいおい、そんな目で見られちまったら…ますます殺りたくなっちまうじゃねぇかっ!!俺は刀身を更に燃やし、その炎を凝縮、そして刀身を形成する。全長は5m、刀身は東洋の片刃剣の如く、そして刀身からは余ったエネルギーが炎の如く揺らがせる。
「もう少し遊んでやりてぇが、てめぇ等相手に時間をかける気はねぇ…消し炭になりやがれっ!!」
《む、よせっ!!これ以上の魔力はっ!!》
「あばよっ!!」
俺は剣を左に構え、一気に右へ一線し、猫共を斬り伏せる。俺の意思によって斬られた対象は猫のみ、斬られたはずのその他半径5mの障害物は燃え移る事なく平然を保っている。斬られた猫共は横に真っ二つになり、斬られた肉体は燃え上がり崩れ落ちる。俺は刀身に纏わせた炎を意思によって消し、魔法陣を地上に形成し、剣を魔法陣に刺す。剣は刀身からゆっくり落ち、転移先の保管庫へと送られる。
《片は付いたみたいだが…恐らく、管理局の者に気づかれたはず。先を急ごう》
紅蓮の奴、随分不機嫌だな。まぁ当然か、AMFステルスで魔力を抑えられてる状態であんな馬鹿みてぇな魔力使えば管理局の奴にも気づかれるし、おまけに………吐き気がっ!?
俺は側にあった木へとよろけながら移動し、根本に崩れる様に膝と手を付き…
オエェエエエエエエエエエエッ
やっぱりか、だから嫌だったんだよ…毎度毎度任務する度にAMFステルス使わされ、本調子じゃねぇ状態で魔力使わされ、無理矢理デケぇ魔力使えばその反動で凄まじい吐き気に襲われ、こうなる。
《だからよせと言ったのだっ!!本調子でない状態で馬鹿みたく魔力を使えば、こうなる事くらい戦士として気づかなくてどうするっ!!》
る…るせぇよ…それに、今のは"戦士"関係ねぇだろうが…。俺は身体を立て直し、後ろで燃え盛る猫共の死体に目を向ける。
《時間はあまり無い、"アポカリプス"を早く回収するぞ》
「あ…あいよ、見つけた管理局の奴らもついでにぶった切ってやるよ」
俺達は、あと3分程度で到着する目的地へとよろけながら歩き始めた。
「恭兄ぃ〜、朝だよ〜っ!」
あれ、恭兄ぃの返事が無い。いつもなら…
"うっせぇっ!!"
とか言って、起きて来るはずなんだけと…もしかして昨日恭兄ぃの友達の彰徒(あきと)君達と徹夜でモンハンやっててそのまま友達放置で爆睡してるのかな?ぃよしっ!!じゃあ仕方ないな、ここはあたしが目覚めの必殺奥義で盛大に起こしてあげようじゃないかっ!
あたしはリビングから扉を開けて、2階へと駆け出して、恭兄ぃの部屋へと向かう。そして思いっ切り部屋の扉を思いっ切り開けて
「恭兄ぃおはよ………う?」
あれ、恭兄ぃ…いないしっ!?
ふっふ〜ん、さては起こしに来るの気づいてどこかに隠れたな…まずは、右側のクローゼッt!!…いないし…ならばベッドのしt!!…にもいない…おかしい、かなりおかしいよ…ベッドの上のPSPの電源がONのままでモンハンの画面が付きっぱなし、今日は学校あるはずなのに制服は無くなってないし、その代わりにいつも着てる私服だけ無くなってるし、着替えたなら寝巻きがあるはずなのに無い…
「恭兄ぃが…恭兄ぃが消えたぁああああああああっ!?!?!?!?」
(Memory's 04へ続く)
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