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小説 時空の旅人と疾風の黒騎士の軌跡
Memory's 02 〜"強欲"ノ鼓動〜
「おいお前、ホントにここにあるのかぁ?」

ったく、どこを見ても木、草、虫けら…あいつ、これで無かったらぶった斬る。

『間違いありませんよ、確かにこの地帯のどこかに反応はありました。だから管理局の方達が来る前に早いとこ探し出して下さいね。後、ミッドチルダのお土産も忘れずに』

「知るかっ!!つーかミッドに顔出しちまったら絶対バレるだろうがっ!!」

『大丈夫大丈夫、あなたならやってくれると信じてますよ。それに、そのためにAMFステルスをわざわざ用意したんですから、これで管理局から見てもあなたはただの一般人です』

てめぇは土産ごときにAMFステルス使わせるんじゃねぇよっ!!あれ使ってる間、変に調子悪くなるんだぞっ!!だが画面の向こうにいる"青髪ロン毛メガネ"は笑顔で頷く。

『そうですねぇ、大丈夫ですよ、ちょっとだけですから。あなたなら問題無く出来ます、僕が言うんだから間違いありません』

ったく、その自信はどこから湧いてくるんだよ……あぁ解った、やりゃあ良いんだろやりゃあ!!

『さすがです、あなたならそう言ってくれると信じてましたよ。では、お土産はミッドで一番有名なケーキで構いません。お願いしますね、アグニ』

「ったく…解ったよ、レン」

この"青髪ロン毛メガネ"ことレン・シュトロベルグは、ニッコリと笑って通信を切った。

《ミッションが一つ増えたな、アグニ》

「"紅蓮"か、ったくレンの野郎、面倒事をまた増やしやがって。こんな密林でわずかな反応頼りに"アポカリプス"探して、おまけに敵地に潜入してケーキ買って来いだとよ。面倒くせぇぜ」

俺の右腕に装備された深紅の腕輪型デバイス"紅蓮"が俺に話し掛ける。

《アグニ、面倒臭がるのはお前の悪い癖だ。ミッションとは常に全力で……ん、この反応……近いぞアグニ》

「あぁ、確かに感じる…。この反応…間違いねぇ…行くぞ紅蓮、宝探しの始まりだっ!!」

《承知した、アグニ》

俺はこの密林を北西を走り出す。あ、そういやぁこの方向、ミッドチルダに近ぇな、調度良いぜ…このまま真っ直ぐ突っ走るぜぇ!!


「新しい隊員?」

『そや、さっきこっちに転移されてな。今回の事件の協力者なんよ』

今私は管理局の事務室のデスクではやてちゃんからの通信を受けている。この間の
転移反応の事かな。

『でも、その子転移先があの密林地帯なのよ。それでな、ちょっとお願いしたいんやけど…』

あそこか、新人隊員があの密林地帯に一人はちょっときついかな。

「うん、良いよ。私も調度時間が空いたし、その新人隊員を救出してくれば良いんだよね」

《ありがとぉな、じゃあ早速やけど、準備出来次第ヘリに乗って目的地に向かってくれるか?》

「了解。じゃあまた後でね」

《うん、ありがとぉなのはちゃん》

はやてちゃんからの通信が切れて画面が閉じた。新人隊員か…スバル達を思い出すなぁ、どんな子か楽しみ。私はデスクの画面を閉じ、ヘリポートに向かった。




さて、通信送ってから何分くらい経っただろうか、俺達は今も通信した場所から動かずに待機している。俺は、傍にある大木の根元で広がる青空を眺めながら寝転がっていた。しかし暇だな、こうなるんだったら家からPSP持ってくれば良かった。モンハンもまだアルバトリオン狩ってないし、まだ買ってないゲームもあったから今になって少し後悔するなぁ。あ、しまったっ!!これから先発売するみのりんのCDも、録画しないといけないアニメも、もう買えないし、見れない……あぁ、さらば……我がオタ生活…少し泣けてきた。

《相棒、いきなり泣き出さないでくれますか、不気味です》

「うるさいっ!!本来なら俺はいつもの様に平和なオタ生活を送っていたんだっ!!この世界にみのりんは居ねぇんだろ、もう……あの声を聞けないんだ」

《相棒、少し考えてみてください。私を作って下さったマイスター達はアニメやゲームに登場していたんですよね?》

あぁ、そうだけど…それがどうかした…か………ま、まさかっ!!

《お気づきになりましたか?そうです、ミッドチルダにはアニメや特撮、ゲーム等々、相棒がいた世界と同じく存在し、それぞれのアニメ、ゲームの世界が存在するのです》

そ、そうかっ!!俺が居た世界ではクォヴレーやはやてがアニメとかの登場人物、そしてここでは、はやて達が実際に存在している。だとすれば、みのりんも何等かの形で存在しているはず。上手くいけばこの世界でも声優をやってるはず。俺は小さな希望を膨らませる様にシュバルツに聞く。

「じゃあ、みのりんは…茅原実里は存在しているのか?」

《えぇ、存在します。ただし、ちょっと違います》

へ?違うってどうゆう事だ。なんでちょっと希望を壊そうとする。

《この世界の人達が相棒の世界のゲーム等の登場人物だった様に、並行世界それぞれの人達は全く同じとは言えないのです。例えば、この世界のなのはさんが相棒の世界でアニメの登場人物であったり、相棒が今この時間を平和に暮らしている世界もあるのです》

俺が平和に暮らしてる、って俺さっきまで平和に暮らしてたんだけどっ!!

《良いですか?この世界、そして相棒の居た世界も含めて"並行世界"…いわゆるパラレルワールドと呼ばれるものは、複数の可能性で成り立っています。簡単な話、例えば一つのケーキがあるとして、相棒が見つけて食べた時と、食べなかった時、さらにその後の行動によって様々な可能性が無限に枝分かれしているのです。相棒はこの無限にある可能性の中から一つだけ選ばれた一人なんですよ》

そうか、俺は運悪くどこぞのドS野郎に選ばれた運の悪い"俺"なんだな?

《相棒?本当に運が悪いと御思いですか?無限にある可能性の中からただ一人、アニメやゲームの登場人物に会え、フラグを立てて、最終的にはあんな事やこんな事が出来るとしても?》
っ!!!!………おい…今なんて?

《ですからなのはさん達とフラグ立ててあんな事やこんなこt》

「悪くないなっ!元居た世界よりこっちの方が良いっ!!相棒、後何分で到着するっ!!」

《約20分くらいですね、ん?相棒、ちょっと待って下さい》

ん?どうした、相棒。折角俺がやる気出してるのに。

《この反応…まさか…》

だから何だってっ?おい相棒、様子が変だぞっ!!

《至急、はやてさんに連絡しましょう、これは…私達には手に負えませんっ》

「だから何だよっ!!おいっ!!どうした相棒っ!!」

俺は相棒のチェーンを強く握り締める。そして、相棒は淡々とこう言った。

《並行世界全てを消滅させる事が出来るロストロギアの一つの反応が、この近くで確認されました》




《……………ん……何だ………この感覚は………》

薄暗い空間、地下の祭壇の上で約1万年封印されている俺が……かつて感じた事の無い感覚……強い欲望を感じる………この近くだ……地上にいる………俺を欲する人間が………2人………

《また……暴れられるのか…大きな戦いで………来るが良い……俺を欲する者共よっ!!》

俺の声がこの地下の神殿……"強欲の領地"に響いた。


(Memory's 03に続く)

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