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小説 時空の旅人と疾風の黒騎士の軌跡
Memory's 01 〜疾風降臨〜
「さて、シュバルツさん。ちょっと良いかな?」

《どうかしましたか、相棒?》

確かにクォヴレーは、ミッドチルダの何処に跳ばされるかは解らないと言っていた。だが……俺が見ているのは、澄んだ青空、そして、周辺に見える木、草、昆虫等々…それらを仰向けに寝転びながら見ていた。まったく、ほんとに…………っ!!俺はまた、ちょっとした怒りが込み上げ声高々に、この青空に叫んだ。

「ここはどこだぁぁぁぁぁぁぁあっ!!」

ミッドチルダって、こんなとこだったっけ?って一瞬錯覚したが、いやいやいやっ!?そんなわけねぇっ!?…ランダム過ぎるっ!?せめて都市部近くの人里に跳ばして欲しかったよっ!?っと、言うわけで相棒に場所を聞くことにした。

《現在私達は、管理局から1000km程離れた、密林地帯のど真ん中ですね。ここからでしたら約3日で到着できる筈です、相棒》

3日で着けるのか?かなり遠いとこに来たなぁ…。そう、現在俺達はクォヴレーの作り出した空間の狭間からの出口を通り、ミッドチルダに無事到着……とは行かず、ミッドチルダ都市部の周辺の人里離れ過ぎな感じの密林地帯のど真ん中に落ち、相棒の座標を基に草木を掻き分けて、歩いて管理局へと向かっている。落ちたと言っても、相棒が多少魔力フィールドとか使ってくれて、軽いすりきずとかで済んだ。あのドS野郎……次会ったら風穴空けてやるっ……。

《通常なら3日で到着しますが、私を使えば約1日で到着しますが、どうします?》

1日っ!?マジかっ!?そりゃ、出来るならそうするって。初めてセットアップした時、いつもより力が沸く感覚があった。これならたった1日くらい余裕だな。

《ただし、一つだけ問題があります》

あぁ、大丈夫大丈夫っ。多少の問題なら対応出来るからな。

《通常の3倍のスピードでカロリーが消費され、辿り着く頃には軽く気絶する可能性が高いです。なので、相棒の体内カロリーを計算して約1日くらいという事です》

はぁ?…………って事はなに?……
そのまま歩くなり走るなりして3日、しかしミッドで待ってるはやてさんに申し訳が無さ過ぎる。そして、セットアップした状態なら約1日だが到着した後ぶっ倒れるって事かっ!!どっちに転んでもヤバ過ぎるだろっ!!

《前者も後者も、私がはやてさんにこの状況を報告して迎えを送ってもらうという事もできます、どうしますか?》

確かにこの状況ははやてさんに報告した方が心配されずすむはずだ。これは悩んでいる時間は無い。

「よし、頼むぜ相棒」

《了解です》

シュバルツがはやてさんに連絡してから数秒後、シュバルツから立体画面が映し出された。そこには今にもラーメンを食べようとしている、指揮官兼相棒の"もう一人のマイスター"の姿があった。




「クォヴレー君、ちゃんと届けてくれたやろうか」

クォヴレー君と新しく出来たデバイスと別れて3日が経つ今、うちは管理局にある自分の仕事部屋で新しく来るという子を待っている。
今頃はもうミッドチルダに着いとってもおかしくは無いはずやけど、何かトラブルに巻き込まれたんやろうか。

「大丈夫ですよ、はやてちゃん。あの子にこっちの場所の座標を転送したってクォヴレーさん言ってたじゃないですか」

リィンが言った通り、クォヴレー君はあのデバイスにこっちの座標を送って、あの子とその持ち主をこっちに戻した。
そう、今日の朝にクォヴレー君から連絡が来て、今そっちに送ったと聞いたまでは安心したんやけど、いくらなんでも遅い。

「あの子にはこっちの連絡先も登録してあるしな、いざとなれば連絡が来るはず。リィン、お腹空いたやろ?ラーメン食べよか」

「はいです〜」

時間は、お昼の12時。さすがにお腹が空いてきたから、少しラーメンでも食べようと、出前でラーメンを注文した。
まぁ、クォヴレー君が選んだ子なら大丈夫やろと思う。ここはのんびりと待とうやないか。それから10分くらいして、こっちの立体画面に店員が写った。

『ちわ〜、ラーメンお届けに参りました』

お、調度ラーメンが来た所やな。お腹ペコペコやから早う食べたい。

「どうぞ〜、こちらまで来て下さい」

3分くらいして、ラーメン屋の店員がこっちに届けに来て、代金払ってデスクに戻ってさて食べようとした時やった。

『あ……あのぉ…八神…はやて、さん?』

うちの目の前に立体画面が現れ、そこに茶髪で天然パーマ、瞳の色は鳶色、服装は白いTシャツに青いGジャンを羽織った高校生くらいの男の子が写し出され、なんだか申し訳なさそうな顔をしていた。

「ん、君誰や?」

するとその子は、自分の首に掛かる銀十字のネックレスを親指で差して、

『はやてさんの送ったデバイスのマスター、風夜恭介です』

あぁ、この子がクォヴレー君の選んだ子だったんか。そういえばまだ顔知らなかったし、名前しか知らなかったなぁ。で、どうかしたんか?

『手っ取り早く言うとですが…ちょっと、遭難しました』

え……え゙ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!




はい、わかってましたよ……このリアクションは正しい。その通りですよ……でもさぁ、これは俺のせいでなくてさ、あのドS野郎のせいなんです。

『えぇと、何で君が遭難しとるか聞かせてもらおか?』

《それは私からお話します。マイスター》

『おぉ、あんたのマスター見つけたんやな。なんて名にしてもらったんや?』

はやてさん、やけに興味心身だな。てかあなた、そうゆうキャラでしたか。

《シュバルツリッター…"疾風の黒騎士"です。》

『黒騎士かぁ……結構厨二っぽい名前やなぁ』

「誰が厨二かっ!良くないですか、スパロボのヴァイスリッターから名付けた良い名前じゃないですかっ!!」

そうである、この"シュバルツリッター"の名前は、スパロボOGに登場する"ヴァイスリッター"、ドイツ語で"白騎士"からとって、"シュバルツ"、こっちもドイツ語で"黒"という割と良い感じの名前にした。スーパー〇〇とか〇〇カスタムとかよりは良いと思っている。

『スパロボ?何の事やっ!!あんたうちに喧嘩売りに来たんか!』

《マイスター落ち着いて下さい、話がかなりズレています。相棒も今は名前の話所じゃないです。私達が遭難している事忘れないで下さいっ!》

そうだった、危うく丸一日スパロボについて熱く語りそうだったぜ。

《マイスター、私達は現在ミッドの管理局から1000q離れた密林地帯に落下し、今から徒歩または走って約3日、セットアップして約1日で到着します。しかし、相棒のカロリーではセットアップして到着した際、気絶してミッドチルダの街のどこかで倒れる計算です。できればそちらから迎えを出して頂ければ幸いです》
『そうやったか。わかった、そっちの座標送ってくれるか?こっちからヘリを一つ向かわせるから、ちょっと待っとき』

《了解です、マイスター》

『ほな頑張りや、シュバルツ、そして風夜君』

「恭介で良いです、迎えありがとうございます」

『お礼ならえぇよ、うちの事もはやてで構わへんよ。歳も見た感じうちと変わらなさそうやし、ほなまたな、恭介』

「わかった。またな、はやて」

立体画面が消え、俺とシュバルツは近くの木の根に腰をかけた。

「相棒、今からヘリが来るまでの時間は?」

《約2時間程と思われます、それまでここで待機しましょう。この密林には多くの肉食生物が存在するそうなので》

肉食生物っ!!それはライオンとかワニとかなのか?ってかミッドチルダにライオンとかワニいるのか?

《良く似た生物は存在します。しかしそれらより強い生物は多く存在しますので、心配いりません》

怖ぇよっ!!ライオンとかワニより強い生物がウヨウヨいる中にいるのかよっ!!許さねぇ、マジで風穴空けてやる……

「あのドS野郎ぉぉぉっ!!絶対風穴空けてやるーーーーっ!!」

こうして、ミッドチルダでの最初の出来事は始まった。



(Memory's 02に続く)

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