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小説 時空の旅人と疾風の黒騎士の軌跡
Memory's 00 〜疾風継承〜
「おい、起きろ」

ん、誰だ……
俺の眠りを妨げる奴は……
俺は今絶賛爆睡中だ……
起こすな………

「おい、目を覚ませ風夜恭介」

だから俺を起こすなって言ってるだろうが………
ただでさえ昨日はダチと4人でほとんど徹夜でモンハン3rdでアマツとかアカムとか狩りまくって、やっと眠りに着いたってところだぞ……
しかしなんだ?……
こいつの声……何処かで………

「………仕方ない、本来俺はこういうのは性に合わないのだが…………………風夜っ!!起きろぉぉぉぉおっ!!」


「うるせぇぇぇぇぇえええええっ!!てめぇはなんだっ、俺の眠りを妨げやがってっ!!こちとら徹夜でやっと眠れたと思ったのに、一体どこのどいつ………だ……?」

「やっと起きたか、風夜……この俺に叫ばさせるとは」

ふ…ふぇ?
なんで……どうしてこの人が、俺の目の前にいる……?
だっ……だってこの人は……ゲームの中の人だろ……?
それになんだ、周りの景色が……何も無い。ただ真っ白で宙に浮いている感覚がある……。

「お前の質問に答えてやろう、俺の名は……」

いや、名乗る必要は無い……
銀のウェーブのかかった髪、パイロットスーツ、そしてこいつの後ろには……黒い並行世界の番人、ディス・アストラナガンがいた……

「ク…クォヴレー・ゴードンさん……」

「そうか…俺の名を知っていたか、まぁ当然か…」

クォヴレーさんは、見ず知らずの人間が自分の名を知っていたにも関わらず、平然としていた。

「当然、ってなんで?」

「お前の日常は少し観察させてもらった。お前の世界のゲームに俺やアラド達が登場している事、お前が根っからの"ゲーマー"で"ヲタク"ある事、そして昨日の夜眠っていない事…」

「待て待て待て待て待てぇぇぇぇっ!?って事は昨日の夜の行動も…」

「あぁ、確かお前の好きな女性の写真を見ながら自分n」

「ギャアアアアアアアアッ!!それ以上はいろいろとマズいからっ!?お前この小説すぐ終わらせる気かぁああああああっ!?」

俺は速攻でクォヴレーの口を両手で塞ぐ。なんかフガフガもがいているが気にしない。

「良いかっ!?あなたが割と常識を知らないって事も知っているっ!?だからここで教えてやる、世の中知られたら並行世界全てが滅ぶ程危ねぇ事ってものがあるってなっ!?」

「ふがっが、ふがっがふがふがひへふへっ!?」
何を言っているか解った為、俺はクォヴレーさんの口を塞いだ手を離す。

「ぷはぁっ!?はぁっ……はぁっ……殺す気かっ!?」

あなたが暴露しようとしたからだろっ!……んで、どうして俺がこんな所にいるんだよ。まさかあなたが……

「そうだ、お前を喚んだのは俺だ。俺はお前に頼みがあってここに連れてきた。並行世界の狭間に…」

へ…並行世界ぃ?
俺を喚んだぁ?
何を言っているんだ?…それに頼みって…あのクォヴレーさんが?いやいや、そんな馬鹿な事は無いだろ…だってあの戦いを勝利に導いた戦士の一人だぞ…そんな人がこんなどこにでもいる様なヲタクを……ま、まさかっ…いやいやっ!そんな事ありえないよな?!誰しも必ず一回くらいヤってるはずだよな?!まっ…まさか、俺が昨日の夜にヤりながら妄想してた事がいろいろマズかったのかっ…だからかっ?!だからなのかっ…俺は咄嗟に身体が振るえ、クォヴレーさんを見る。そして、出た言葉が…

「拉致られたぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!?俺拉致られたんだぁぁぁぁぁぁぁあっ!?きっと俺が昨日あんな事をしたからっ……因果率が狂ってっ……いやぁあああああっ!?消されるっ……消されるーーーーーっ!?…うっ!?」

俺がぎゃあぎゃあ騒いでいるのを止めるため、クォヴレーさんが俺の頭に痛恨のチョップを食らわせた。

「少し落ち着けっ!!俺はお前に頼みがあるから喚んだと言っている。消すつもりなら当の昔に消している」

「いっ……痛いぃっ……て、事は夢じゃないんだ。それで、頼みって…何ですか?」

「簡単な事だ、世界を守って欲しい。その力をお前にある人から渡す様頼まれた」

クォヴレーさんは自分の首にかかっていた銀十字のネックレスを外して、自らの手の平に乗せた。

「これは、ある世界の技術と俺が戦った世界の技術を使って作ったインテリジェントデバイスだ。名前はまだ決めていない、お前が決めるんだ」

いや待て、どうして引き受けたって事で話を進める?俺はまだ"はい"、とも"イェス"とも言っていないぞ。

「時間が無いから手短に説明する。今、とある負の思念が世界を全て消滅させようとしている。だがそれは何千何万年も前に封印されている。しかし、その封印が解かれようとしている。封印が解かれれば全世界、そう…お前の世界も消滅する」

「全世界の消滅っ?!だったら、尚更あなたなら軽く封印解こうとしている奴ら消して終わらせれるでしょっ?!」

「今の俺は、この空間から出られない。因子が足りないからな…。だから俺は、全ての並行世界の人間から一人…俺の代わりに戦える人間を探し出し、見つけ出したのが…」

「俺、なのか?……」

クォヴレーは黙って頷く。

「お前の中の因子は、通常の人間を遥かに上回っていた。そして、このデバイスは通常の人間では因子が足りずに全ての力を発揮出来ない。もう一度言う…頼む…力を貸して欲しい」

「俺でなきゃ駄目なのか?俺、今までずっとネクラだったし、ヲタクだし、たいして強ぇって訳でもない」

「言ったはずだ。俺はお前の日常を観察していたと…。ロボット開発世界大会10連続優勝、父親は元陸上自衛隊教導隊長で、剣道の全国大会出場成績全て優勝。母親は由緒ある神社の巫女だったな。お前も、普段は自宅の道場で鍛えられているのだろう?」

なっ!?……何故そんな事までっ!?……当然か。クォヴレーさんが興味を持った目標、その全ての情報を分析するのは必要な事のはず……
あんまり、過去の事は知られたくなかったけどな……

「お前の強さは隠してても解る。さっき俺の口を塞いだ時、並大抵の奴らならすぐ解く事は可能だ。だが、それが解けなかった。お前は俺と同等、いやそれ以上の力を持っているはずだ」

あっ…あの時はかなりヤバいネタをあなたが暴露しようとしたからつい夢中でっ!…。そうっ!!"火事場の馬鹿力"ってやつだ。だから…普段の俺はたいした事ないただのヲタなんだよ。すみませんが、諦めてください。俺は、クォヴレーさんに深く頭を下げた。仕方ないんだよな、ただのヲタが世界なんて守れるわけねぇもん…。そんな姿を見て、クォヴレーさんは最後にこう言った。

「解った……断るなら仕方ない……別の世界で探すとしよう……まぁ、二度と会わないだろうと思うからな、一応言っておく。この世界全てが消滅された場合……………

"この世の全ての万物は輪廻転生の輪から永遠に外れ、生きるもの全てが完全に消える"

だだ、それだけだ……」

なんだよ……それ………それじゃあ完全に何も無い空間、この空間みたいになるって事かよ……。全並行世界でただ一人、それを止める力は俺だけって言ってたよな?…恐らく3年近くは探したはず、たった一人を………。もし俺が断れば、またクォヴレーさんは3年近く探しに行くはず、そんな事している内に封印されている、いわゆるラスボスが復活して全ての並行世界を消滅させちまう………………。はは…あぁ、そうかい…そうゆう事か。こいつは俺を脅しているんだ……。世界全てと、俺の平和な日常を天秤にかけやがったんだっ!!
俺は正直今までの会話、目の前のコイツと後ろのロボットを、どこかでまだ信じれていない。………だがっ!!
俺は両手を強く握り締め、この選択の答が一つしか無い事に強く、激しく怒りを感じた。一番嫌いな、一番腹が立つ状況に。

「解った風夜、お前が断るなら構わない。しばらく続く平和な時間を何事も無い様に過ごすといい。俺は別の誰かを…」

「待ちやがれっ!!このドS野郎っ!!」

あ〜あ、やっちまった。もう少し我慢出来たら良かったよな…?俺は普段はあまり怒らない方だけど、唯一我慢出来ない事に関してはかなりキレる。

「さっきからなんだよっ!!随分と上から目線で言いたい事だけ淡々とほざいて、最後は選択肢が一つしかねぇ事突き出しやがってっ!!あったまくるんだよ、そうゆう理不尽な事っ!」
アイツは、少し驚いていたがそれでもその後平然としている。

「なら…引き受けてくれるのか?この世界全てを守る責任を背負ってっ!!」

あぁ、お前もそうだったな。普段は冷静沈着でクールな奴だけど、内には強い感情がある……ゲームでも同じだった。あっちもとうとう化けの皮が剥がれたか。背負う覚悟、あるなんて言えるはずなかったが、俺は啖呵きってこう叫んじまった。

「あるっ!!俺にしか出来ねぇなら、やってやるっ!!その負の思念って奴もぶっ倒すっ!!理不尽にこの世界、ぶっ壊させてたまるかっ!!」

そう、俺が許せねぇのは、"理不尽な事"だ。いきなり世界ぶっ壊しますって言われたり、いきなり選択肢ひとつしかねぇ事言われたりするのが一番嫌いな事だから、そう…そんな事許してたまるかよっ!!

《良く言ってくれました。新たなるマスター》

その時、当然どこからか機械音声がした。その声は、アストラナガンのものでもなければ、このドS野郎でも無い。コイツの持つ銀十字のネックレスから声がした。

「起きたか。すまないな、手短に終わらせるつもりだったのだが」

《構いません、あの方が喚き始めてから目が覚めて、全て聞かせてもらいました》

ん?……なんだ、このデバイス?やけに感情豊かじゃねぇか…

《当然ですっ!なぜなら、この人ともう一人のマイスターに造られた最強で優秀なデバイスなんですからっ!!》

人の思考を勝手に見るなっ!そしてこれは最強関係ねぇしっ!

《…あ、もう一人のマイスターからメッセージがあります》

おい、スルーするなよ。するとこのデバイスは、立体画面を出現させ、見覚えのある女性が姿を映し出した。

『風夜恭介君、初めまして。ミッドチルダの八神はやてです。あ、一応本物やからね?ウソちゃうよ?ちゃんと存在しとるからな?…じゃなくて、クォヴレー君からは君の事はよう聞いとるよ、いろいろとな。まず最初に、ゴメンな…急にこんな事頼んでしもうて…。でも、それでも聴いてほしい、クォヴレー君から聴いたと思うけど、これはほんまな事なんよ。でも大丈夫や。心配せんでええ、風夜君だけやないから、うちらも一緒に戦うから。そしてこの子と、君となら出来る、だから安心してな。ほな、ミッドチルダで待っとるよっ!』

《……メッセージ確かに届けましたよ、マイスター》

…現実にいたのは、コイツだけじゃなかった…。はやてさんも現実にいた……。しかも、ミッドチルダで待ってるって……。俺を信じているって言ってくれてた………。なら、もし…そんな力が、本当に存在するなら……俺は……

「クォヴレーさん………」

「どうした、さっきの勢いは何処に消えた?」

「まぁ…少し落ち着いたんだ。俺、急にこんな場所に連れてかれて、こんな事言われて……正直、かなり不安だった……。だけど、俺だけじゃないって…コイツがいれば、出来る気がしたんだ。俺とコイツと……そして、他にも仲間がいるんだろ?」

クォヴレーは鼻で笑って、こう答えた。

「当前だ。こんな重い責任、お前だけには背負わせはしない」

安心した、なら問題無いや。じゃあ、やってやるか……

「解ったよ、その頼み、引き受けたっ!!」


俺はクォヴレーの持つデバイスを掴み、掴んだデバイスを見る。何故だか、コイツとは初めて会った気がしなかった。

「そのデバイスの名はもう決めたか?」

あぁ、既に決めていた。なんでだか、昔からもう決まっていた様に。さてと…最近読んだ、なのはVividの1巻に倣って、登録してきますか。

「えぇと…マスター認証、風夜恭介。術式はベルカ主体、ミッド混合ハイブリット。それとパーソナルトルーパー"ヴァイスリッター"のデータをベースにジャケットを変更。色は黒だな。デバイスの個体名称登録、正式名称"シュバルツリッター"っ!!愛称"シュバルツ"っ!!……行くぞ、シュバルツっ!!」

《了解です、マスター》

俺の身体を白い球体状の光が包み、着ていた服もちろん下着も消え、真っ裸な状態になり、そこに首元と胸囲、肩までを黒いインナーが包む。その後、長袖の膝元まで裾があるロングコートの様な黒いジャケットが装着されていき、右腕に黒い革生地のグローブ、左腕には鈍く光る銀のガントレット、両脚には黒いシューズ、ジーンズ生地の蒼い膝下まであるGパンが装着される。そしてジャケット全体を白い線が疾風の様に描かれる。最後に右手のグローブに銀十字が施されて装着完了し、包んでいた光が消える。

「これで良いのか?クォヴレー」

「さっきまで"さん"付けしてたのに、もう呼び捨てか。まぁ良いが、"黒騎士"か…ジャケット自体もヴァイスリッターに似ているな。武器は幾つか揃えたから、お前が望めばそれに合った武器を喚べる。後はお前をミッドチルダに跳ばす手段だが……」

クォヴレーはアストラナガンのコックピットに移動し、乗り込んだ。そしてアストラナガンが刀身が禍禍しい模様の大鎌"S・Z・Oサイス"を取り出し、何も無い場所に向かって振り下ろした。すると、その斬られたと思われるところに人間大の狭間が現れた。

「風夜、ここからミッドチルダに跳べる。しかし、ミッドの何処に跳ぶかは解らない。シュバルツリッターに座標を送ったから、到着次第それを頼りにはやてと合流するんだ。そして最後に…協力してくれた事、感謝する」

クォヴレーは、クールなキャラだがたまにみせるちょっとした"デレ"が許せてしまうのだ。素直じゃない奴め。

「お礼は良いって、俺がやりたいからやってるだけだから。じゃあな、クォヴレー」

俺は、切り裂かれた狭間に飛び込んだ。この先、戦いが多く起きる筈だ…。俺の力、クォヴレーが言っていた因子の力が俺の中にある…、一体それが何なのか…引き出せるかどうか不安になる。

《心配ありません。あなたの力は、私が責任を持って引き出すサポートをします。私はその為に造られました》

「だから人の思考を勝手に読むな。まぁ良いけど、頼むぜ"相棒"っ!」

《"相棒"…ですか?》

「そうだ、今日からお前は"相棒"、一緒に戦う仲間だからなっ!だからお前も俺の事は
"相棒"って呼んでくれっ!」

《了解です、相棒》

「上出来だっ!行くぞ、ミッドチルダへっ!!」

これが、俺とシュバルツの始まり…

新たな物語のページが今、開かれた……


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