ハニーキャット
3
視線の方を向けば明らか苛ついた豊の顔が目に入った。
「何か言いたそうだな」
「それは、そっちもだろ?」
ジッと目線を合わせ、沈黙がながれる。
だが、豊がその沈黙を破った。
「お前な授業くらい真面目に出ろよな…」
「えー…だって今って野沢だろ?俺ジジィに興味ないし」
「興味ないとかあるとかの問題じゃないんだよ!毎回毎回探しに行かされる俺の身にもなってみろ」
「やだよ面倒くさい…」
「俺のが面倒くさいんだよっ」
はーはーと息が切れるほどに声を荒げる豊を後目に耳を塞ぐ。
もう煩いな。コレだから豊に見つかると厄介なんだよな。
先公なら上手く落として3Pに持ち込めるのに…。
あまりの鬱陶しさに嫌気がさしスッと立ちドアの方へと進んだ。
「はいはい、ごめんなさいねー」
「ちょっ何処行くんだよ!?」
「…トイレ、どっかの誰かさんが邪魔してくれちゃったからねー」
「ぐっ…さっさと行ってこい」
ドアの方へと進む俺の腕を掴み問い質す豊に振り向きざまに嫌味たらしく言う。
そうすれば、ハァと溜め息が聞こえてきた。
「何その言い方…なんなら豊が相手してくれてもいいんだぜ?」
「っ…!?」
掴まれた腕をスルリとほどき、両手を豊の首へ回す。
そして、挑発するように笑みを浮かべ耳元でワザと息がかかるように話した。
「っ誰がお前みたいな下半身ゆるゆる野郎とヤるかよ!」
「なっ、こっちだって豊みたいな面倒くさい奴は御免だね」
俺を引き離すように肩を掴み押しながら悪態をついてきた豊に俺も反論した。
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