ハニーキャット
11
その微笑みを目にして思わず羽織らされたワイシャツを軽く握りしめる。
もしかしてホントにさっきの人達とは違うのかも。ただ優しい人…助けてくれた人。
認識を改め、信用してもいいのではないかと思いながら小さくコクンと頷いた。
そうすると、ホッとしたように表情が緩んでいた。
やっぱり悪い人ではない…よね。だって側にいても全然嫌な感じがしない。
むしろ……
その答えを導き出そうとしているとあの人が不意に立ち上がろうと体を動かしていた。
「…っ!?」
ボクは考えるより先に何故かその人の腕を掴んでいた。
腕を急に掴まれたことに驚いている様子が見えた。そしてそれと同じくらいボクも自分の行動に驚いていた。
な…何で掴んじゃったんだろ。
分からない…でもどっか行っちゃうんじゃないかって咄嗟に。
ワケが分からないと混乱していると…
「…安心して、君が落ち着くまで居るから」
と言うその言葉に自分が震えていることに気づいた。と同時に一人にされるのが怖くて不安だったんだとも気づく。
自分にも分からなかったことがどうして分かったのだろうと目を白黒させながら見つめる。
そうすると、微笑む姿が見えて徐々に震えと不安な気持ちが治まっていく。
不思議だ。この人は何でボクの気持ちが分かったんだろ。それに安心できるんだろう。
フワッと不安や恐怖が解けていくと自然と口が開く。
「ぁ…ありがとう、ございます」
口が動いて顔の筋肉が解れたのか小さく笑顔になっていた。
そんなボクを見て目を見開きながら一瞬固まった後に少し間隔を空けてボクの側に静かに腰を下ろした。
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