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色彩学園
警戒心
コンコン…とノックの音が聞こえた後に「おっじゃましまーす」と元気な声と共にドアが開いた。


「やっほー!紫音…って、あれ?」

そこにはさっき会っていたみどりが立っていた。

「えっ?なんで…みどりが?」

「なんでって、式の時 話し掛けても全然聞いてないぽかったから、後で部屋に行くなって言ったハズだけど?」


そう言えばそんな事を言われたような…ないような。

僕がう゛〜んと唸りながら考えていると…

「…それより、なんか俺、お邪魔しちゃったみたいだな」

そう言いながらみどりはバツが悪そうな顔をした後にポリポリと頭をかいていた。


?…お邪魔しちゃったって?

そう思いながらふと、今の状態を思い出す。

茜の後ろから抱きついてる状況。

その時、ある言葉が頭を過る。

「この学園内では男同士が付き合うのが当たり前なんだよ。」

って、もしかして、誤解されちゃってる?!

「あああああ、あの…これはその」

僕は誤解を解くために慌てて訂正をしようと口を開く。
がテンパってる所為か上手く言葉が出ない。

ど、どうしよう!?このまま僕と付き合ってるって勘違いされたらきっと茜に迷惑かけちゃうよね!?

でも、なんて言ったら…。
そんな事を考えながらあたふたしていると…

「紫音」

茜が僕の名前を呼びながら頭を撫でてきた。


あっ…落ち着いてきたかも。

茜のおかげで混乱していた僕の頭がクールダウンしてゆく。

落ち着いた僕は茜に「ありがとう」と言って微笑んだ。

そうすると、茜も微笑み返してくれた。その後に茜は僕から視線をはずし、みどりの方へ向くや否や…

「ところで君…誰?」

そう言いながら茜は冷たい視線でみどりを見る。


茜の態度と表情を見て『ちょっとヤバイかも…』と不安が募る。

僕と茜は小3の時からずっと一緒に居る
茜は誰にでもへたてなく優しく、怒ったりキレたりなんて事は滅多にない。

でも、そんな茜が怖い顔をする時がある。

それは、僕達に近づいてくる人にだ。
でも、初対面の時だけでその後は普通の優しい茜に戻ってる。けど、たまにその警戒が無くならない場合がある。

みどりは大丈夫だと思うけど…。


「茜!あのね、みどりは…」

「紫音、ちょっと黙ってて…」

僕は茜に警戒を解いてもらおうと口を開くが、そう言われグッと押し黙ってしまった。
今の茜、普段怒るよりずっと恐いよ…。

そんな事を考えているとこの空気には似つかわしい陽気な声が聞こえた。


「そんな怖い顔しないでよ。

俺は根岸 緑。って、これでも一応クラスメートなんだけどな〜」

みどりは苦笑いを浮かべながらそう言う。


「さぁ。覚えてない」

素っ気なく茜が答えながら警戒心丸出しでみどりを見る。

「ありゃ、これは嫌われちゃったみたいだね。
でも、安心してよ。俺は君に危害を加えたりしないから、さ!」


「どうだか」

そう言うみどりの言葉をあっさりぶった切る茜。

僕はそんな二人を見兼ねて口を開く。

「茜!みどりは悪い人じゃないよ!…多分…」

「紫音、多分って、酷くない?」

「えっ?あっ…ご、ゴメン…みどり。でも、会ったばっかだし…」

酷いことを言ってしまったことに気付き直ぐ様みどりに謝罪をした。そうすると…

「まっ、いいや!
風間 茜君、紫音の御墨付きって事でどうかな?」

そう言いみどりはニッコリと笑いながら手を差し出していた。


茜はチラッと僕に目線を向けた後にまたみどりへと視線を戻した。


「紫音が言うなら…」

そう言い不意に落ちないながらにもみどりを受け入れてくれたようだ。


僕は茜の警戒が和らいでいる事に安堵する

よかった…みどりは学園に入って初めてできた友達だもん!
だから勿論のこと茜にも仲良くなってほしいからね!

そんな事を考えていると…。


「そう言えば、何しに来たわけ根岸」

「みどりでいいよ…っとそうだった!」

そう言いみどりはポンと手を叩く。


「紫音に訊きたいことが1つ…いや、今もう1つ増えたから2つ訊きたいことがあってきたんだ」


そう言いみどりは人指し指と中指を立てながら満面の笑みを浮かべていた。




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あきゅろす。
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