Emptiness 9 クラウンの血の匂いに意識がふらついている。 甘い匂いだな。 欲しい……。クラウンの首から目が離せない。 血に手を伸ばし、そっと触れた。触れた箇所が熱を持ったように熱くなる。 あぁ、このままじゃ―――おちる。 本当はこんなことしてる場合じゃない傷はそれなりに深い、はやく手当てをしてやらないと。 あの子どもの事だってどうにかしないといけない。 でも体は思ったように動いてくれない。クラウンの首筋を自分の顔に近づける。 何だか考えることがめんどくさくなっていく。 飲んでしまおうか―――飲む? 俺が、クラウンの血を? [*前へ][次へ#] |