Emptiness
1
真っ赤な血溜まりでピエロが5人楽しそうに踊っている。
なんだこの夢は、気持ちが悪い。
クラウンみたいだ。
夢だと気が付いていることが唯一の救いだろう。
それにしてもリアルな夢だ。
血の匂いが鼻をくすぐり体内をめぐる。
のどが、渇く。
無意識に血に手を伸ばす、届かない、どうせこんな想像のものに手が届いたところで何も変わらないことくらいわかってはいるがそれでも止められない自分に嫌気が差す。
――俺はウ゛ァンパイアフィリアだ、それも結構重度の。
あと少しで指先が血に触れる、というところで一気に意識が浮上した。
重たい目蓋を開けば映るのは自室の白い天井だ。
嫌な夢を見たせいで気分が悪い。先ほどまでの夢を思い出して、その匂いだけが消えていないことに気が付いた。
嫌な予感とともに体を起こす。
――あぁ、さっきの夢の原因はこれか。
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