情報屋、やってます。
2
…ー水崎透哉sideー…
「ねぇ、ちょっと君」
"rabbit"の溜まり場に向かってる途中で、男二人組からいきなり声をかけられた。
あらら、誰かと思えば、"dog"のツートップやないか。
目の前に現れたのは、"dog"の総長相田正行と、副総長の櫻井弘人。
二人とも180cm前後ある長身で、派手な見た目も手伝ってだいぶ威圧感がある。
実際会うのは初めてやな。
まさかこんなとこで話しかけられるとは予想してへんかって、少し呆けてしもた。
「今から暇?」
溜まり場行くのに何時集合とか決まりはないから、急ぎはせーへん。
こくんと頷くと、"dog"の副総長はニコっと笑った。
おえぇっ。
それ、男に向ける笑顔ちゃうやろ。
女やったら瞬殺かもしれへんけど、男からしたらキモい以外の何ものでもないわ。
「じゃあさ、そこのファミレスで少し話さない?」
なんやろ、情報でも欲しいんかな。
ファミレスに入っていく二人の後に続く。
「三名様でよろしいでしょうか」
「はーい、オッケーでーす」
「席にご案内致します」
案内された窓側のソファ席に3人で座る。
「いやぁ、ごめんね、急に」
「別にええよ。あ、俺紅茶のストレート、アイスで」
たぶん水を入れに行こうとしたであろう店員さんに声をかける。
あとでピンポンすんのめんどいやん。
「…え?君…関西弁?じゃあ俺アイスコーヒー」
櫻井弘人が驚いたように俺を見る。
会話と注文並行させるんかい。ややこしいな。
せめて注文し終わってから話しかけてくれ。
言わへんけどな。
「せやったら?」
「えぇー、もったいな!」
一体何がもったないねん。
意識的に眉を寄せる。
「うわぁ、せっかく顔綺麗なのに…。あと俺の隣のはオレンジジュースかな、あはは!」
何勝手に決めてんの。そして隣のもなんか文句言えや、ほんまにオレンジジュース来るぞ。
なんでこっちガン見やねん嫌やわぁ。
「あんた失礼やな。なんやねん、喋った瞬間もったないとか。意味不明や」
「ご注文は以上でよろし、」
「だってさー…君みたいなのはもっと上品にしゃべった方がモテるって」
遮んなや、可哀想やろ。
「ご注文は、」
「別に俺はモテるために生きてへんねん。どっかのタラシと一緒にされたないなぁ。あと、全国の関西弁使てる方々に謝れや」
まあ、俺も遮るけど。
だって言い返さへんと。
「…へぇ、言うねぇ。失礼って言うけどさ、君だって結構失礼だよね。七条の赤バッジって2年でしょ?俺らより年下だよ君。しかも、俺ら"dog"ってチームの、」
「知ってるで。あ、お姉さんごめんな。注文それでええよ」
ようやく解放された店員さんはそそくさと去っていった。
一方櫻井弘人はすごく怪訝そうな顔。
「知ってる…?」
「"dog"の総長相田正行と副総長の櫻井弘人やろ」
「…何、なんで、知ってんの」
「俺の、名前…知ってるのか…」
これ、俺のこと知らずに声かけてきたパターンやな。
そしてやっと喋ったと思ったら、なんやねん相田正行、顔赤くしてキモい。
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