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情報屋、やってます。
10,000打記念

※すでに付き合ってる設定です。






あの人の誕生日に、少し見栄を張った値段のネックレスを渡した。
泣きそうな顔で喜んで、誕生日楽しみにしててなんて言うから、少しだけ、期待してしまってたのかもしれない。


ピピピピピとなり続ける音で目を覚ます。
伸びをしてから、8時を指す時計の上をポンと叩いた。

途端に部屋は静まり返って、再び眠気に襲われる。
期末テストを前日に控えた日曜日、特に用事もない。
もうひと眠りしよ…。

枕の横にあるスマホがチカチカ光っているのに気づいて、それを手に取り布団に潜り込む。

メールの通知が一件。
開くと、櫻井弘人からやった。

『誕生日おめでと!今日は楽しんでね〜』

………あ、俺今日誕生日か。
すっかり忘れてた。
律儀に0時きっかりに送られていて、素直に感心する。
こうやって、誕生日を知ってる人にはちゃんと日付変わった瞬間に送ってるんやろなぁ。
俺は絶対、対して親しくもないやつの誕生日は、言葉だけでも祝わない。
何一つめでたいと思わへんから。
心にもない台詞言うのは苦手やねん。

自分自身誕生日を祝われることが久しぶりで、なんや不思議な気分。
楽しむって何をやろ。
誕生日楽しめよ、てことか?
たしか去年は抗争に巻き込まれて病院送りやったし、その前はもっと地獄やったし、まぁ何もない今年は楽しい方やな。

簡単なお礼の言葉を送信してから、画面を暗くして、布団をかぶる。
そのまま睡魔に飲まれていった。





13時半、空腹で目が覚めた。
スマホをチラリと窺い見る。
腹が鳴った。
さすがに何か食べるか…。

寝過ぎてだるい体を起こし、ベッドから降りる。
何食べようかな。
けどそんなに食材ないわ、たぶん。

案の定1階に降りて冷蔵庫を見てみたら、卵しか入っていなかった。
せっかく一応誕生日やし、外出てちょびっとだけおいしいもん食べてもええけど、わざわざそれだけのために身支度するのもめんどくさい。
あくびをひとつしてから、目玉焼きonレトルトカレーに心を決めた。



23時、自分の部屋で椅子に座って教科書をめくる。
試験は4日間で、全部午前で終わり。
どうせFラン高校やし、余裕やろ。

パラパラと流し読みしていると、スマホが震えた。
画面に表示されたのがあの人からのメッセージで、一瞬気分が高揚したけど、送られてきた内容にずんと心が沈んだ。

『明日から期末だわー。とうやも?』

そっか、あんたの高校も明日からなんやな。
そら勉強がんばらな。

『せやで。がんばろーな』

一言送ると、すぐにスタンプだけが返ってくる。

ああ、今日はもうこれでおしまいやな。
教科書を閉じる。

布団に入って、電気を消した。

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あきゅろす。
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