情報屋、やってます。
こうしとけ
「はろ〜、加原さん」
「水崎!悪かったな、さっきは」
「んや、俺もちと言い過ぎたわ」
"rabbit"の溜まり場に到着し、総長の加原に挨拶。
それから、加原の横に行って今日の仕事をする。
「加原さん、ちょっと聞いて」
「なんだ…?」
「昨日"bat"の総長と他に幹部が2人、チーム追放されてん。今、それで"bat"はゴタゴタしてる。俺が今日さらに掲示板荒らしとくわ。せやから…仕掛けるんなら明日やな」
「"bat"潰せって?」
「おぅ。目障りやったんやろ?こんなチャンスないで」
加原はしばらく黙り込んでしまった。
「でも…大丈夫かなぁ…」
挙げ句の一言がこれ。
「加原さんどんだけヘタレやねん!あんな…"bat"が今目ぇつけてんのは"rabbit"や。さっさとやっとかなこっちがやられる。両チームとも準備万端の状態で戦ったら、勝率は5割。半分やぞ」
「んー…」
「しかも、もしこっちが負けてみ。えっげつないほど迫害されるで」
「え?」
「知らんの?前に"bird"てチームあってんけど、そいつら"bat"に負けてん。…そんなかには全治半年のやつもいたらしいぞ」
「うっわ…」
「ほんまやり方キショイねん、あいつら。たとえ勝ったとしても、勝つまでに怪我負うやつはそれなりにいるはずや。せめて被害最小限に抑えたいなら、今しかない」
「……わかった。みんな、聞いてくれ!」
そう言って立ち上がる加原さん。
ふー、説得成功。
明日仕掛けりゃ絶対勝てる。
「水崎、チームの方はどんな感じよ」
原田はこうやってちょくちょく情報欲しがる。
まぁ俺もお友だちからは金取りたないし、特に影響の出んような情報をただでくれてやる。
「んー…言うなら修羅場やな」
「は、マジで?」
「ああ、せやからそっちはあんま詳しく喋れへんわ」
「そっか…。あ、じゃあ"dog"はどう?」
「"dog"か…そういえば、こないだ初めて総長と副に会った」
こーゆー世間話的な感じで話すんが、一番安全。
がっつり話し込むと、うっかりいらん情報まで流しかねんのや。
「え、会ったのか?」
「おぅ。ナンパされてん」
「うっそ!」
「びっくりやろ。まぁナンパ言うてもファミレス誘われたぐらいやけど」
「いや、立派にナンパだって!へぇ、ついに水崎は男からもモテるようになったのか…」
「そもそも女からもそんなモテてへんわ」
「そりゃ性格がこれだから」
「うっさいねん」
性格はどうしようもない。こんなふうに育てたクソ親父に言うてくれ。
「"dog"ってさ、最近人数増えてるとこっしょ?」
「そ。憧れて入る人が多いねんて」
「憧れ?」
「総長さんがすごい信頼できる人間みたいや。チームの雰囲気てのは上につく人間に影響されるからな…"dog"めちゃくちゃ雰囲気ええらしい」
「へぇ…」
「しかも副がしっかりしてるから、変に崩れることもないし。人気出るのが当然やなぁ」
「ほぉ、なるほどな」
「けど…」
「ん?」
「いや、なんでもないわ」
「そー?」
総長さんがアレなのは黙っといたろ
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