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風の中
その後はと申しますと 1
夜中の1時ころ、長谷川さんに送ってもらって、俺は寮の自分の部屋の前に立った。

「長谷川さん、あざました」

「ああ。今日明日は休みだしゆっくり休めよ」

「うす」

手をひらりと振ってから帰っていった長谷川さんを、お辞儀で見送った。

さて、俺も部屋入るか。

カチャンと扉を開けると、廊下の向こうのリビングにいた辰樹がパッとこっちを向いた。

「琉衣!!」

ソファから立ち上がった辰樹は、走って俺の方に近づいてくる。

「こんな時間までどうした!?」

「あ、俺…」

ちゃんと全部話そう。
辰樹はずっと俺を支えてくれてたんだから。

「今日も、強姦されて……それが風紀にバレた」

「………マジか……まぁ、いつかはバレると思ってたけど…」

辰樹は俺の手を引いて、リビングのソファまで連れていった。
辰樹が座ったから、俺も横に座る。

「んで、バレたから、どうなった?」

「……辰樹、驚かないで聞いてくれ」

「ん…?」



「長谷川さんとお付き合いさせていただくことになりました」



「……………ああ、そ」

辰樹はさして驚いたふうもない。
まぁ驚かないで聞けとは言ったけどさ……もうちょっと、こう!なんかリアクションないの!?

「…………琉衣、ひとつ言っていいか」

「なんだよー…」


「俺が驚いたのはお前の話のぶっ飛び方だ」


………なんだって?

「お前……強姦された、風紀にバレた、長谷川さんと付き合った………って、どんだけ途中の流れ省いてんの!?」

「そこぉぉぉ!?」

「むしろそこしかねぇだろーが!」

「俺が長谷川さんと付き合うことになったのビックリしなかった!?ビックリしなかった!!?」

「なんにも!予想通りすぎて、なーんにも!!」

「辰樹って予知能力すげーな!」

「………あー、もう…いいです…」

辰樹はがくっと肩を落とした。

なんだよー!

「まぁ……元気そうでよかったじゃん……」

「おう!」

……あ、もしや副委員長と同じく嫌味!?

まあ、嫌味のひとつやふたつはしょうがない。
それなりに迷惑かけてきたんだし。

てか、ああそうだ、辰樹にちゃんと言いたいことがあったんだ。


「辰樹、この度は多大なる迷惑をおかけしてしまって申し訳ありませんでした」

ソファの上で正座して、辰樹に向かって頭を下げる。

俺が強姦される度に、ずっと傍で励ましてくれてた。
ほんとはまだ読み終わってない小説読みたくて仕方なかったはずなのに、文句も言わず、ただ傍にいてくれた。

いつもすぐバカにするくせに、ツラい時は優しい言葉ばっかかけてくれた。


「辰樹のおかげで俺はがんばれたと思うから、だから…辰樹にはほんとに感謝してて…――ありがとう」


さらに深くお辞儀をしてから、顔をあげ――


「寝てるぅぅう……!!」


割りと衝撃的でした。


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あきゅろす。
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