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風の中
思いがけない 1
…ー会長sideー…

整理し終わったプリントを机の上でトントンとまとめる。

風紀に持っていかなきゃならないプリントは5枚か。

風紀に行くために椅子から立ち上がる。
生徒会にも雑用係がいてくれると助かるんだがな。
できれば犬っころみたいなやつがいい。
……北原、生徒会にもらっちまおうか。
まぁ、長谷川が風紀にいる限りは不可能だろうが。

風紀まではそんな遠くないし、ちょっとした気分転換だとでも思うことにしよう。


そう思いながら廊下を歩いていると、なんだかとんでもない声とか音が教室から廊下に聞こえてきた。

…おいおい。

いくら強姦の取り締まりが風紀の仕事だからと言って、生徒会長の俺が見過ごすわけにもいかない。

しゃあねぇ。
さっさと風紀に受け渡すか。

教室のドアを勢いよくスライドさせた。












…ー副委員長sideー…


さっきから長谷川がずっとそわそわしている。

理由は、北原がいつまで経っても生徒会室から戻ってこないからだ。たぶん。

でも、北原は生徒会の役員たちに捕まってなかなか帰ってこないことが多々ある。
から、まぁ…大丈夫だと思うんだが。
長谷川もそれをわかっているから、動こうとはしないんだろう。

プルルルと風紀室の電話が鳴る。
ちょうど電話の近くにいた委員が電話を取った。

「はい、風紀室です。……え、……あ、副委員長、ですか」
電話を耳から離して、その委員がこちらを向いた。
「副委員長、あの…会長からです」
「会長?」

いったい俺に何の用だ?

その委員から受話器を受け取り、電話の向こうの相手に話しかける。

「どうした、書類に不備でもあったか?」

『いや……風紀室に向かってる途中で、強姦現場を発見した』

「ああ、そうか。わざわざすまん。てか、そのまま委員に言ってくれてもよかったのに」

『……ちょっと、そういうわけにもいかねぇやつでな。……――北原が、被害者だ』

「……………冗談はよせ」

『こんな笑えねぇ冗談があるかよ…』

…………本気で、か。

「………すぐ、向かう。場所はどこだ?」
『西館の第2演習室だ』
「わかった」

通話を終了させる。

「何だって?」
長谷川の机の近くに行くと、長谷川がソワソワと聞いてくる。



「――北原が、強姦被害に遭ったそうだ」


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