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風の中
関係なく
気がつけば、いつのまにやらあの日から一ヶ月。
ちょうど今日が、一ヶ月目の金曜日。

今日で最後。
今日で風紀をやめる。
今日で空き棟とはおさらば。

最後くらい、サボってもいいだろうか。
丁度いいことに、ここ2、3日体調があまりよろしくない。

「長谷川さん…」

久々に、自分から声をかけた。

「ん?どうした?」
「今日、ちょっと、調子悪いので…パト休ませてもらっても、いいですか」
「ああ、わかった」
「あ、でも、雑用くらいならできるんで…何か生徒会に持ってく書類とか、ありますかね」
「そうだな……じゃあ、これ、頼んでもいいか?」
「うす」

長谷川さんからプリントを数枚受けとる。

風紀室を出る前に、長谷川さんから声をかけられた。

「無理しなくていいからな」

「……あざます」

パタンと扉を閉める。

あーあ、それにしても…体が重い。
熱っぽさはないけど…なんだろう。
ストレスとか?
いや、俺とストレスは無縁の言葉だ。
…昔は。
今は、わかんねぇや。

でも、今日空き棟行かなくてよくなったのは、ほんと嬉しい。

無理矢理ヤられるのも、慣れたには慣れた。
ただ、慣れたと言っても、不快じゃないかと言えば、そんなわけはなく。

風紀室からさほど遠くない生徒会室に到着。
コンコンと扉をノックする。

「入れ」

会長さんの声が聞こえてから扉を開けた。

「ちわす」
「北原か」

会長さんのデスクまで歩いていって、書類を渡す。

他の役員は今日はいないみたいだ。

「これ、どうぞです」
「おぅ、ありがとな。……てかお前…最近元気ねぇけど大丈夫か?」
「……大丈夫です。あざます」
「……そうか。気ぃつけて帰れよ」
「…うす」

ペコリと一礼して、生徒会室を出る。

みんな、優しいなぁ。

俺なんか、空気として扱ってくれればいいのに。

俯き加減で廊下を歩く。

パタパタと人の足音が聞こえる。
次いで、何人かの話し声。

ゆっくりと顔をあげると、――すごく見慣れたやつらが目に入ってしまった。

向こうも俺に気づいたらしい。

「あれ、こんなとこにいたのかよ」
「いつもの時間になっても来ねぇから、今日は諦めてたんだけど…ラッキー」
「ちょうど教室もあることだし…今日はここでヤっちゃう?」

足が、すくんで、動かなかった。

近づいてくるやつらから、逃げることもできず、結局俺は、すぐ横の教室に引きずりこまれた。


なんで、なんでだよ。


結局、風紀やめて、空き棟行かなくなったって、この日々は変わらないのか。














地獄のようだ


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