理解不能 2 38.1℃。マジか。 保健室の先生に体温計を渡す。 「あー…結構高いね…」 ですねぇ。 「お家の人に迎えきてもらおうか」 「あ……俺、一人暮らしで……」 「え、一人で帰れる?」 「がんばります……」 大丈夫大丈夫。 家そんな遠くないし。 保健室から出ようとした俺に、先生が一言。 「病院ちゃんと行ってね」 「………はーい…」 そうだ、行かなきゃ。 忘れるところだった。 のろのろ歩いて教室に戻り、のろのろと帰り仕度をし、のろのろと教室を出る。 あー、病院めんどくせぇ。 そのまま帰って寝たい。 明日でもいいかなぁ…。 廊下を歩いていると、向こうから人が歩いてきた。 ………って、ああ…バカ瀬か…。 また屋上行ってたのかねー、この寒い中。 バカ瀬も俺に気づいたらしくて、怪訝そうな顔をしてくる。 「サボりかよ」 いや、違いますけど。 調子悪いから帰るんだよバーカ。 お前ら不良と一緒にすんな。 なんかムカついたから、とりあえずバカ瀬はスルー。 そしたら向こうもムカついたみたいだ。 「無視してんじゃねぇっ」 ちょうどすれ違うとこで、拳が飛んできた。 いつものこと。 いつもみたいに、避けない、と―― ――ドカッ 鈍い衝撃と、視界がグルッと回る感覚。 ああ、失敗した。 今度は肩のあたりに鈍い衝撃がきて、倒れたんだなぁとかどこか他人事のように感じていた。 うー……しんどい。 無理、もう動きたくない。 「え、おまぇ……ぇ、」 上の方からバカ瀬の声が聞こえる。 困ってる困ってる。 でも、いつまでも寝てるわけにはいかない。 ダルい体を無理矢理起こすために、顔の横に手をついて力を入れた。 つーか、顔いてぇ…。 特に、鼻……鼻? ポタポタと、床に赤い液体が、………うわ最悪鼻血出た。 [*前へ][次へ#] [戻る] |