理解不能
2
…ー堤原やまとsideー…
「さーて、さて…」
閑は、屋上かなー?
でもあそこ不良の溜まり場だから行きたくねぇな。
…よし、電話で呼ぼう。
閑に電話をかけると、結構すぐに出た。
たぶん携帯弄ってたんだろう。
「もしもーし」
『…なんだ』
「閑ちょっと、教室来てよ」
『は?何で』
「俺から大事な大事なお話しがあるのです」
『…わかった』
通話の切れた携帯をポッケにしまう。
あー、通知表どーしよっかなー。
まぁ話終わった後でいっか。
しばらく机でボーッとしていると、ガラリと扉が開いた。
「いやぁ、わざわざ来てもらっちゃって悪いね」
「……別に」
「まぁお座りなさいよ、閑くん」
閑は俺の隣の席に座った。
「よし、単刀直入に聞かせてもらう。――なんで雷斗を噛んだ」
「……………」
閑はガシガシと頭を掻いた。
「あいつが…エロかった、から…」
「…食べちゃいたかった、と」
「ち げ ぇ よ!!そこまで言ってねぇだろ!!」
「そーいうことじゃないの?」
「だから違ぇって!!」
「じゃあ何?」
「……誤魔化すためにだな、」
「何を」
「……に、…匂い嗅いだのを、」
「――は」
匂いを、嗅いだ。
………は。
「……閑って行動派なんだ」
「あれは!教室が暑かったせいだ!!」
「…………」
「マジで!!」
「まぁ…匂い嗅いだのは別にいいんだけど…。雷斗いい匂いするよね」
「そうそ、ぅ、いやいやいや!」
閑ってすぐ顔赤くなんな。
「とりあえず謎は解けたし、それはいいや。…俺が言いたいのはだな――」
ガタンと席を立って、閑の前に仁王立ちして見下ろす。
「――雷斗に怪我させてんじゃねぇよオイ」
俺が胸ぐらを掴むと、閑は豆鉄砲喰らった鳩みたいな顔をした。
「今回はまだ怪我軽かったからいいにしとくけど……次怪我させたら――二度と雷斗に近づかせねぇよ?」
「………………」
わかったか、ばーか。
パッと手を放すと、閑はストンと椅子に落ちた。
「ま、そゆコト」
ニッと笑って、机の上にあった自分の鞄を肩にかける。
「お話はこれにて終ー了ー。じゃ、俺は通知表取りに戻らねばならぬので」
ヒラリと手を振って教室を出る。
ドアを閉める前に、閑がボソリと呟くのが聞こえた。
「腹黒すぎだろ…」
いやいやそれほどでもーってね
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