理解不能 語ろーぜ 1 …ー堤原やまとsideー… 次の日の朝、教室で雷斗を待つ。 来ない…来ないなぁ…。 「やまと、浮かない顔してんなぁ」 クラスメートの高田が話しかけてくれる。 「んー…雷斗怒らせちゃって…」 いや、怒らせたわけではないか。 傷つけたんだ。 「羽山?え、別によくね?もしなんだったら俺らのグループと一緒にいればいいよ」 「いやぁ…」 頼んでねーし。よくねーし。 「つかさ、俺ずっと思ってたんだけどぉ、お前と羽山合わないって!」 「…何、どういう意味」 「だってさ、羽山って顔だけって感じじゃねぇ?中身絶対ぇ薄いだろ!」 「――黙れ」 「……え?」 お前が雷斗を知ったふうに語るな。 中身薄いって、一体何を見て、何を聞いてそんなこと言ったんだよ。 ちゃんと話したこともないくせに、中身が見えるわけねぇだろ。 顔だけ? だったらお前はその顔すらアウトじゃねぇか。 僻んでるあたり、お前もよっぽど中身薄いんじゃない? 俺でも知らないとこばっかの雷斗を、お前が図々しく語ってんじゃねーよ。 …なんて、全部八つ当たりじゃんなぁ。 はぁ、ごめんよ、高田。 「雷斗はなぁ、顔だけじゃない、体もサイコーなんだぞー?」 「うっわ!羽山かわいそ!こんなゲイに目ぇつけられちゃうとか!」 「もうたっまんないね!あー、雷斗えろいー!」 「お前が黙れって!」 こうやって、人に愛想振る舞ってばかりいる俺の方が、よっぽど中身薄いから。 最悪。 今のところ、否定するべきだっただろ。 ちゃんと雷斗は中身もいいやつだって、言うべきだった。 雷斗と本気でダチやってくつもりなら、そのくらいのことできなきゃダメだ。 だったら、さっさと言えよアホ。 「雷斗は、いいやつ、なんだよ…」 「あー、はいはい。体が、とか言うんだろ」 「中身、ちゃんとあるって」 [*前へ][次へ#] [戻る] |