哀色 俺がいる 志乃と喧嘩っていうか、絶交?したことで、俺は結構落ちていた。 リビングのソファーでクッションを抱え込み、2人分のコーヒーカップをキッチンから運んできた龍聖をぼんやりと眺める。 「優、どうした?なんか元気ねーな」 隣に座った龍聖が、コーヒーをテーブルに置いてから声をかけてくれる。 「友達と絶交したー」 「友達って…もしかして中村志乃か?」 「あんら、なんで知ってんの?」 「お前の交友関係くらいはチェックしてる」 「へぇ…」 こーゆーところに、ちょっとした愛を感じるよね。 「んで、なんで絶交なんてしたんだ」 「なんかー、もとから嫌いだったって言われて…そのまま縁切りましょーみたいな」 「もとから?」 「俺は全部持ってるんだってー。よくわかんねぇけど」 「…要はただの嫉妬じゃねぇか」 「俺なんか妬む要素ないけどねー」 「そうでもないとは思うが…」 いやー、だって志乃も充分イケメンじゃーん。 「妬んで何になるんだよー…」 「まぁ、そのうち向こうも目ぇ覚ますだろ」 「そーかなー…」 そーだといいなー。 でも、どーなんだろねー。 ほんとに最初っから俺のこと嫌いだったら、ふつーにもう元には戻れないだろ。 くたっと龍聖に凭れかかる。 「お前落ち込むと語尾伸びんのな」 「んー、かもしれん」 ゆっくりと頭を撫でる龍聖の手が、すっげぇ温かく感じた。 「お前のこと捨てたやつなんてほっとけばいいんだよ」 できたら苦労しねぇけどさぁ。 だけど、俺を励ますために言ってくれてんでしょ? だったら応えないわけにはいかんわな。 「わかったー、もう龍聖だけ見てる」 ギュッて抱きついてみる。 「おま、不意討ち反則だぞ!」 「大好きー」 「っ、だーかーら、」 「龍聖あっての俺だね」 「…俺もおんなじこと返してやるよ」 君と見る景色はとてもキレイな色をしていて、できたらずっと一緒に眺めていたいと、そう願うのです [*前へ][次へ#] [戻る] |